研究課題/領域番号 |
18KK0069
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70253242)
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研究分担者 |
森田 愛子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20403909)
源 健宏 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (40611306)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2018年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 認知リソース / ワーキングメモリ |
研究実績の概要 |
本研究は、日本を中心に、マレーシア、英国、そしてスイスの研究者から構成された研究チームによる国際共同研究を通じて、既存の認知リソース概念とは異なる発想に基づく「認知リソースのワーキングメモリ理論」を提案することを目的としている。2019年度及び2020年度には、ワーキングメモリの多要素モデルと時分割型リソース共有モデルを理論的に統合することを目的として、二重課題を用いた実験と複合スパン課題を用いた実験を計画し実施した。二重課題実験では、n-back課題を用いて、二重課題遂行時における時分割処理のメカニズムを検討した。複合スパン課題を用いた実験では、ワーキングメモリの忘却における干渉の影響を検討した。2021年度には、これまでに英国及びマレーシアにおいて実施した実験の成果を国際専門学会において報告していた。2022年度には、スイスで得られていたデータをPsychonomic Societyにおいて報告した。さらに、2023年1月にロンドンで開催された実験心理学会の大会において、Logieが講演を行い、それに伴うシンポジウムでは、Camosと齊藤がそれぞれ話題提供を行った。2022年度には、4カ国を結んだオンラインミーティング、個別のオンラインミーティング、さらに、Psychonomic Societyの大会、実験心理学会の大会時の対面のミーティングによって国際共著論文の執筆を行った。スイスで得られたデータに基づく原稿が完成し、この分野の国際主要雑誌に投稿。3回の改稿を経て、採択され、2023年度に出版された。2023年度には、4カ国を結んだオンラインミーティングを計3回、個別のオンラインミーティングを2回開催し、英国およびマレーシアで実施された実験の結果に基づいた研究を齊藤とLogieが中心となって論文化し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外の各大学の事務局との連絡調整や倫理審査、実験実施に係る契約の締結などを順調に進め、海外送金も含めて実験実施のための基盤は形成した。その後、ジュネーブ大学およびフリブール大学において、二重課題実験が行われ、エディンバラ大学においては、複合スパンを用いたワーキングメモリ実験が実施された。2020年度においては、新型コロナウイルス感染拡大のために、実験を予定していた全ての大学において研究室が閉鎖され、オンキャンパスでの実験実施が不可能となったが、最終的には、エディンバラ大学およびマレーシア科学大学において実験を完了した。その後も、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限のため、多大な困難があったものの、人間を対象とした実験を実施することができた。 海外渡航が困難な中でも研究を計画通りに進めるため、4カ国のメンバー全員が参加するオンラインミーティングをおよそ1ヶ月-2ヶ月に1回のペースで開催して、情報交換を行うとともに、実験結果のレビューおよび研究討議を行うこととし、実施してきた。2022年度、2023年度にもこうしたオンラインミーティングを実施し、2020年度以前よりも綿密な情報交換を行ってきた。その中で、新しい実験計画を立案、洗練し、さらに、Web上で実施できる実験のプログラムを開発して、その実験の手続きを詳細に検討して精緻化していった。2022年度には、国際学会への対面参加が可能になったことから、本プロジェクトの報告を行い、学会期間中に対面のミーティングも行って、国際共著論文の執筆を進めた。2023年度には、オンラインミーティングによって国際ネットワークを維持しつつ、論文の執筆を進めた。 本研究は、以上のように、新型コロナウイルス感染症の影響のため、若干の研究の遅れは見られるものの、研究計画に沿っておおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度にも、これまでに実施された実験結果のまとめを行い、学術論文としての出版を目指す。既に1編の国際共著論文が、国際トップジャーナルに出版されているが、これに加え、新たな国際共著論文を執筆している。これまで通り、定期的なミーティングを行い、論文を執筆していく。実験は完了しており、2024年度を最終年度として、Robert H. Logie、Valerie Camos、Pierre Barrouillet、Weng Tink Chooiの協力を得ながら、研究代表者の齊藤および研究分担者の森田、源が主導して研究成果をまとめていく。
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