研究課題/領域番号 |
18KK0092
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉工業大学 (2019-2022) 東京大学 (2018) |
研究代表者 |
多田 隆治 千葉工業大学, 地球学研究センター, 嘱託主席研究員 (30143366)
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研究分担者 |
田近 英一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70251410)
岡田 誠 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (00250978)
黒澤 耕介 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (80616433)
鹿山 雅裕 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30634068)
多田 賢弘 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (80909565)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2019年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2018年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | オーストラリア-アジア・テクタイト・イベント / 小天体衝突 / イジェクタ / 衝撃変成石英 / インドシナ半島 / ボラベン高原 / マイクロテクタイト / 日本海 / 衝突実験 / PDF / 養老川ルート / 層状テクタイト / 千葉セクション / オーストラリア-アジア・テクタイト / 放射光XRD / IODP / 電子スピン共鳴 / カソードルミネッセンス |
研究実績の概要 |
2022年度は、日本海IODP U1426地点におけるオーストラリアーアジア・マイクロテクタイトのフラックスと粒度分布について詳しく調べ、フラックスは1平方㎝あたり690個、平均粒径は57μmで、従来報告されているものよりかなり小さい粒子が、これまでmicrotektiteは分布していないとされていたか日本海において、かなり大量に降下していることが明らかになった。一方、インドシナ半島おけるイジェクタ層の認定に関する論文が、Meteoritics & Planetary Sciences誌に受理され、古くから地元でlaterite層と呼ばれていた鉄酸化物・水酸化物にとんだ赤茶色の層が、オーストラリアーアジア・テクタイト(AAT)を生み出した小天体衝突起源のイジェクタ層であることを世界で初めて明らかにした。 イジェクタ層の層厚分布は、衝突地点の位置や衝突規模の推定に極めて有効である。我々は、2019年までにタイ東北部、ラオス南西部、カンボジア北部の調査を行ってきたが、その後のコロナ禍のため、2020、2021年度は海外調査が出来ずにいた。2022年度の後半になって、ベトナム、タイ、ラオスなどへの入国制限が緩和され、調査の再開が可能になった。そこで、2022年12月に10日ほどベトナム南部の調査を行い、2地点でイジェクタ層を確認し、その層厚、組成、粒度を調べた。また、2023年2月には、タイ東北部およびラオス南部について約2週間かけて、ボラベン高原衝突説を唱えるシンガポール地球観測研究所のSieh教授、共同研究者のCarling教授、ナコンラチャシマラジャハット大学のSongtham博士、Duangkrayom博士らと共に野外での討論および共同調査を行い、ラオス南東部におけるイジェクタ層の分布を確認し、その層厚、組成、粒度を調べた。なお、現地討論にはNHKの撮影チームも同行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に行ったベトナム南部およびラオス島南部調査によって、②イジェクタ堆積物の層厚・粒度・粒子組成の定量のための調査・試料採取地点は、ベトナム北部を除く研究対象域全域を網羅し、一応目的達成の目処がついた。また、①基盤岩中の衝撃変成石英有無とその量の推定、③石英の電子スピン共鳴(ESR)、カソードルミネッセンスによる基盤岩温度・圧力履歴の推定、を行うための試料もほぼ採取が完了し、あとは2022年度に採取した試料の薄片観察、分析を行うだけである。また、④イジェクタ層中の炭化木の燃焼温度は、Ban Tha Changにおいて推定を行った結果、通常の山火事と変わらなかった。 千葉セクションにおけるオーストラリアーアジア・テクタイト・イベント(AATE)層準の認定については、該当層準の試料採取・分析を試みたが、microtektiteを発見できなかった。そのため、microtektite層準をまたぐ層序区間で浮遊性有孔虫殻を取り出し、その炭素同位体比、酸素同位体比、Mg/Ca比を測定して、(a)森林燃焼による大気へのCO2放出量、(b)CO2放出に伴う海水温上昇の程度及び持続期間を推定するという当初の目的は達成できなくなった。そこで、代替え地点を検討している。 小天体衝突の数値シミュレーションについては、シミュレーションのための制約条件が十分でないため、まだ行うに至っていない。そこで、制約条件をより明確にするため、衝突地点での圧力や温度の推定を目的として衝突実験を行い、生成された衝撃変成石英の特徴と衝突時の温度圧力の対応関係の検討を行っている。 衝突に伴う環境擾乱とその生物への影響については、最近、Duangkrayom博士がタイ東北部でイジェクタ層に伴う大型動物化石産出地点を発見したので、その予察調査を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の主目的の一つであるインドシナ半島陸域におけるAATE起源イジェクタ層の認定は既に完了し、更にイジェクタ層を3つの層序ユニットに細分して、各ユニットの運搬・堆積機構を明らかにした。その結果は、2本の論文として既に国際誌に発表した。こうした結果をもとに、既にインドシナ半島内の36地点において、イジェクタ層を確認し、特にイジェクタカーテン堆積物に対応するユニット2について、その層厚を測定し、粒度と粒子の種類・量比についても測定を進めている。基盤岩についても、特に中生代の石英質砂岩に的を絞って試料の採取を行っており、既にインドシナ半島内の57地点において試料を採取し、放射光XRDを用いた石英の格子間隔測定に基づく圧力の推定、ESR信号強度に基づく温度の推定を進めている。最終年度である2023年度は、昨年度に採取した試料の観察、分析を行い、その結果をまとめる予定である。 AATE層準をまたぐ層序区間で浮遊性有孔虫殻を取り出し、その炭素同位体比、酸素同位体比、Mg/Ca比を測定して、(a)森林燃焼による大気へのCO2放出量、(b)CO2放出に伴う海水温上昇の程度及び持続期間を推定するという目的達成のため、東大池田昌之」准教授と共同で、千葉セクションに代わって、最近AATE microtektiteが発見された南シナ海北部IODP U1146 地点のコア試料を請求し、試料請求申請は受理された。近日中に高知コアセンターにサブサンプリングに行く予定である。試料入手次第、予定した分析をできる限り行い、目的(a), (b)を達成したい。 衝突の数値シミュレーションについては、当初考えていたより難しいことがわかってきたが、本プロジェクトでの調査、分析結果、衝突実験結果などをもとに、シミュレーションの境界条件を詰め、次の段階でシミュレーションが行えるところまで持ってゆきたいと考えている。
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