研究課題/領域番号 |
18KK0107
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高崎 正也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10333486)
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研究分担者 |
山口 大介 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (00735657)
水野 毅 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (20134645)
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研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハプティクス / 皮膚感覚 / ディスプレイ / 超音波 / 摩擦制御 |
研究実績の概要 |
人の触覚のひとつ皮膚感覚を提示するデバイス「皮膚感覚ディスプレイ」であって,プレート形超音波振動子表面での摩擦制御を利用しているものを対象としている.本研究では,埼玉大学チームが15 MHzより周波数を下げていき,リール大学チームの協力を得て30 kHzより周波数を上げていくアプローチをとっている.超音波皮膚感覚ディスプレイを開発する際の超音波周波数選択の指標のためのデータベース構築を目指している. 前者のアプローチでは,リン青銅板にPZTプレートを接着した振動子を製作している.サイドエフェクトであるクリック感の提示について引き続き検討した.板の支持位置の対称性を無くすことで,200~300Hzの帯域に複数の振動モードを持たせることができた.電圧を印加する圧電素子と周波数を選択することで,板全体でクリック感を提示できるようになった. 後者のアプローチでは,2019年度に圧電セラミクス板で800 kHz近傍に共振周波数を持つことを見いだした.このモードを積極的に利用するために,表面電極をパターニングすることで,Q値を高めて目的とする振動モードを効率良く励振できることを見いだした.一方,伝搬してる振動の正確なモードについての検討が不足していたため,異なるサイズの圧電セラミクス板を用意し,振動の分布と周波数を比較することで振動モードの同定を行っている. 皮膚感覚提示において,摩擦係数の変化を利用しているため,垂直抗力,つまりデバイスとの接触圧力によって触感が異なることが考えられる.このことを検討するために,前年度に開発した,接触圧力(指での押下力)を測定・管理できるようなシステムを用いて実験を行い,制御パラメータが同じでも接触圧力の違いにより受容される感覚が異なることを見いだした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年3月の打合せにて研究協力者(Frederic Giraud准教授とリール大学博士課程学生)との連携の基礎を築くことができたものの,以来,対面での打ち合わせができないでいる.触覚に関わる研究であるため,直接装置に触れることが重要であるが,電子的なやりとりでは,それが制限されてしまう. 30 kHzから周波数を上げていくアプローチのために,リン青銅板にPZTプレートを接着した振動子を試作した.超音波を励振するためには7次程度のモードを用いることになる.サイドエフェクトとして,基本モードの周波数(200~300 Hz程度)の波を短時間印加することで,クリック感のような感覚の提示が可能であることを見いだした.板の支持方法を工夫して複数のモードを併用できるようにすることで,板全体でクリック感に似た感覚を提示することができた. 圧電セラミクス板を用いる方法に関しても検討を開始し,50 mm×50 mm×2 mmのPZT板に表面電極を形成し,交流電圧を印加することで高次モードの振動が発生することを実験的に確認した.さらに電極構造を改良することで,共振周波数870 kHz,Q値(振動の効率を表す指数)1800を得た.当該電極構造については特許出願を行った.伝搬している振動のモードについて詳細に検討を行い,振動子厚みとの関係について知見を得た.一方,2MHz以上の周波数帯の振動子については設計・製作が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
銅板にPZT素子を貼り付けて振動子を構成するタイプの振動子では,リール大学において駆動回路を含めた設計がなされるようになったため,今後協力を仰ぎ,駆動回路を含めた高周波化を行っていく.中でも70kHz,160kHzといった振動モードを持つ振動子を計画していく. 上記のような共振周波数を持つ,40 mm×60 mm程度のサイズのプレート型超音波振動子を設計・製作を計画していく.特に,金属板とPZTピースの組み合わせでは設計の自由度が高く,70kHz,160kHz振動子を計画していく.それぞれの周波数で得られた知見をまとめ,皮膚感覚ディスプレイの設計・製作・調整・制御のそれぞれの観点でのその周波数の長所・短所を整理していく. 15 MHzから周波数を下げていくアプローチでは,従来よりも厚いニオブ酸リチウム基板,PZT基板を用いて振動子の製作を試みる.将来のアプリケーションを考えると,振動子自体は透明であることが好ましい.このために,「間接励振」(これまでに開発した技術)を用いることで,プレート部分をガラス基板とした超音波振動子も同時に計画していく.金属板と圧電セラミクスピースで構成した振動子は透明という特性を持つことができないため,金属板をガラス板に置き換えて超音波振動子を構成する方法について検討していく. 提示される皮膚感覚は接触圧力,つまり指での押下力によって異なることが考えられるため,開発したシステムを用いて,押下力を管理しながらさらになぞり速度も管理できるようにして心理物理実験を行えるように実験方法の改良をはかっていく.
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