研究課題/領域番号 |
18KK0173
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森 直樹 神戸大学, 農学研究科, 教授 (60230075)
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研究分担者 |
大田 正次 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80176891)
竹中 祥太朗 龍谷大学, 農学部, 講師 (20757736)
丹野 研一 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10419864)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 遺伝資源 / 野生コムギ / 遺伝的多様性 / 自然集団 / 擬似自然集団 / 栽培化 / 疑似自然集団 |
研究実績の概要 |
コムギは、約1万年前に肥沃な三日月地帯の北部で栽培化された。栽培化起源地であるトルコ南部に自生する祖先野生種はこの地域の多様な環境に適応しており、集団内・集団間で非常に高い多様性をもつ。しかし、これらの野生コムギ集団は近年拡大する人為的環境破壊によって消失の危機にある。本研究では、集団内に眠る遺伝的多様性の持続的・発展的な利用基盤を確立するため、1)自然集団から任意抽出して作出した「疑似自然集団群」を整備することを主目的とし、これに加えて以下の目標を設定して進めてきた。2)適応形質と中立的DNA変異の両面からみた集団内および集団間の遺伝的構成の解明、3)栽培化に寄与した祖先集団の特定、4)栽培化に寄与した集団の遺伝的特徴の解明。 上記の研究計画の1)から推進するため、2018年の10月に野生4倍性コムギ(野生二粒系コムギおよび野生チモフェービ系コムギの両種を含む)について疑似自然集団群の作出を開始した。これまでの現地調査で採集しチュクロワ大学で保存中のサンプルから、トルコ南部におけるこれらの分布域のほぼ全域をカバーする5つの自然集団を選び、それぞれの集団から23-64個体(221個体)を任意抽出し、栽培を試みたが現地の天候不良により収穫に至らなかった。そこで、2019年の10月に新たに2集団を加えて7つの集団288個体を播種した。2020年の初夏に自殖種子を収穫し、2021年に次の集団を播種する計画であったが、新型コロナウイルスの世界的大流行により計画が中断していた。2023年に入ってコロナウイルスは落ち着いてきたが、同年2月にトルコ南部でM7.8の地震が発生した。共同研究先がこの地域にありその後も同地域で震度5クラスの地震が頻発しているため班員の安全上、現地への渡航が困難な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、消失の危機にある栽培化起源地の野生コムギ集団に眠る遺伝的多様性を持続的・発展的に利用するため、擬似自然集団の育成とその利用・解析に取り組んでいる。 これまでに自然集団で採集し共同研究先のチュクロワ大学に保存中の採集サンプルから、現地の地理的条件なども考慮し11の野生二倍性コムギ集団と18の野生四倍性コムギの集団を選定し、まず野生4倍性コムギの疑似自然集団群を作成することとした。平成30年(2018年)の10月に、上記の集団のうち野生4倍性コムギの5集団(221個体)を選び、それぞれ23~64の小穂を任意抽出し、小穂ごとに1粒の穎果を選び識別番号をつけて個体識別を行った。これらの植物を平成30年12月にチュクロワ大学構内の実験圃場に定植した。これらを平成31年4月から5月にかけて自家受粉させ、6月にその種子を収穫する予定であったが、現地の状況が悪く収穫に至らなかった。そのため、2019年の9月(森、大田、竹中)と同年11月(森、大田)の2回にわたってトルコへ渡航し、上記の5集団に新たに2集団を加えて計7集団から288個体を任意抽出して11月に再度播種した。これらを現地で栽培し、2020年初夏に自殖種子やDNA抽出用の葉の組織を採集する予定であったが、2019年から新型コロナウイルス感染症の世界的感染の拡大と2023年2月にトルコ南部で発生したM7.8の大地震とその後も続く震度5クラスの余震により、2020年以降現在までトルコへの渡航を断念せざるを得なかった。そのため、現地における植物材料の育成と収穫、形質調査などの研究が停滞している。2019年の秋に播種した野生コムギの遺伝資源はウエブ会議による共同研究先との交渉の結果2020年の春に何とか収穫することができたが、その後の現地での作業ができず共同研究先のチュクロワ大学に保管中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、従来のジーンバンクでは実現されてこなかった自然集団内の遺伝的多様性を反映したコムギ遺伝資源の永続的利用基盤の構築を1つの大きな柱としている。我々がこれまでにトルコ国内で実施したフィールド調査では集団内の多様性を重視し、それぞれの調査集団ごとに多くの個体を無作為に採集してきた。本研究では、これらのサンプルから集団ごとに複数の個体をランダムに抽出しそれらを単粒系統法にて自殖することにより純系統化し、自然集団の遺伝的変異を反映しつつ永続的な維持・利用が可能な「疑似自然集団群」の作成を目指してきた。 しかし、上記のように、2019年に現地で播種した7集団288個体は、2020年の初夏に現地の共同研究先の協力により収穫まで至ったが、その後の作業が進められず現地で保管されている状況である。さらに、不幸にも昨年2月にトルコ南部を震源とする大地震が発生した。この震災の被災地域には本研究の共同研究先であるアダナが含まれており、現在も現地での安全が確保できておらず渡航が困難な状況が続いている。2024年度は、もしもトルコへの渡航が再開できれば2020年に収穫された穂サンプルの保存状況の確認を行い、利用可能であれば形質調査と脱穀を行って疑似自然集団の系統としての保存を開始する。また、これまで蓄積してきた自然集団での採集サンプルの現地での保存状況を確認し、将来の利用再開に向けてチュクロワ大学における保存環境を整える。 本研究では、コムギ遺伝資源の調査と保全を担う次世代の研究者の養成も目標としている。そのため、現地の状況が好転しない場合はトルコ以外の地域における野生コムギの現地調査の実施も視野に入れつつ臨機応変に対応しながら進める。
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