研究課題/領域番号 |
18KK0206
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北山 兼弘 京都大学, 農学研究科, 教授 (20324684)
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研究分担者 |
相場 慎一郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (60322319)
辻井 悠希 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (70826742)
宇野 裕美 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究院(CPD) (30803499)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 生態系生態学 / 群集生態学 / 生物地球化学 / 生理学 / 元素欠乏 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、マレーシア、サバ州試験地(デラマコット森林保護区)の35箇所の森林観測プロットにおいて、2022年11月に土壌と植生についての野外調査を実施した。本調査においては、土壌PとNの地球化学的動態に強い影響を及ぼす土壌の酸化還元電位の空間変異と土壌非晶質鉱物濃度の関係を調べた。各プロットにおいて、酸化還元電位プルーブを5cm深と30cm深に挿入し、2深度における酸化還元電位を測定した。本試験地では森林伐採の択伐による影響から地上植生のバイオマスに大きな変異が見られるが、地上バイオマスが低下するほど30cm深の酸化還元電位は急激に低下して強い還元状態を示した。さらに、30cm深の酸化還元電位と非晶質鉱物濃度には正の関係が見られた。このことは、伐採により地上部バイオマスが低下して、樹木を通した蒸散量が低下したために土壌が湛水状態を呈し、非晶質鉱物の主体である酸化鉄が溶解したためと解釈された。酸化鉄は土壌リンを吸蔵化して安定化させる媒体であり、非晶質物質の低下は土壌リンの遊離を促して、土壌リン動態に大きな影響を及ぼすと考えられる。一方、窒素については、土壌還元化は硝化速度を抑制して窒素可給性の低下をもたらすと考えられる。このように、土壌酸化還元電位の空間変異は土壌PとNに異なる(対照的な)影響を及ぼすと考えられた。 2023年1月(雨季)にカリマンタン西部、Kapuas Riverの氾濫原を訪れ、インドネシア科学院(BRIN)陸水学研究所の研究者3名と共に氾濫原生態系についての調査を行った。古い三日月湖と比較的新しい三日月湖(10年程度)の二か所で河川本流・三日月湖・その後背湿地にあたる場所において水中の栄養塩や生物相を調べるためのサンプルの採取を行い、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う国外調査制限のために、新たな森林調査区の設定や土壌採集が大きく制限されており計画は大きく遅れている。かろうじて2022年11月にマレーシア・サバ州において野外調査を実施することができたが、感染防止の観点から活動は限定的であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるので、仮説の検証に向けて集約的に研究を進める。このために網羅的に試験地を増やすことは避け、安全に野外調査を実施できるマレーシア・サバ州およびインドネシア・西カリマンタン州において集中的に調査研究を行う。 サバ州キナバル山の森林調査区において樹木直径の再測定と死亡・新規加入のデータを取得する。標高が上昇すると土壌中の無機態窒素の可給性が低下し、蛇紋岩上では堆積岩もしくは花崗岩に比べ土壌リン濃度が低下する。異なる地質条件上の標高傾度を比較することで、リン制限と窒素制限が森林の長期動態に及ぼす影響を解析する。 氾濫原調査については、昨年度の調査は雨季であったことから、2024年9月の乾季にあたる時期に同じ調査地点を訪れ、同様の調査を行ってその変化を調べる予定である。また、安定同位体比分析なども用いて、雨季と乾季の間での生物の移動履歴なども追跡する。2022年度の調査結果と合わせてサンプルの分析及びデータの解析を進め、雨季と乾季のデータをセットとして国際論文として研究成果を発信したい。
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