研究課題/領域番号 |
18KK0274
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高橋 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90304047)
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研究分担者 |
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40352372)
上番増 喬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10581829)
下畑 隆明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90609687)
山田 苑子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30716634)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2018年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 概日リズム / 腸内微生物細菌叢 / 肝臓 / 中性脂肪 / Gut microbiome |
研究実績の概要 |
本研究は概日リズムに関連した疾患の予防または改善への応用を目指すものである。食事または食物由来の成分を用いて、腸内微生物細菌叢の活性を考慮した介入方法の開発を目指す。 まず、食物由来の天然の低分子化合物から概日リズムの振動や振幅を調節可能な化合物を探索した。数十化合物を選別し、培養細胞を用いた概日リズム関連遺伝子(Per2, Bmal1)の転写調節活性をリアルタイムレポーターアッセイでモニターすると、数十化合物のうち、数化合物で転写活性のリズム振動や効果が確認された。 そのうちの1つ、ノビレチンに着目した。食事誘導性肥満マウスにノビレチンを経口投与すると内臓脂肪の蓄積が顕著に減少することがわかっているが(He B, Chen Z, et al. Cell Metab 2016)、白色脂肪組織に直接作用するか不明であった。そこで、マウス白色脂肪様細胞(3T3-L1細胞)や白色脂肪の初代培養細胞にノビレチンを処置すると、時計遺伝子の変動が変化し、細胞内の脂肪の蓄積が抑制された。よって、ノビレチン投与による白色脂肪の減少は、ノビレチンが脂肪組織に直接作用している可能性が考えられた(Kim E, Mawatari K, et al. Nutrients 2023) また、2022年度には香酸柑橘スダチ特有のポリメトキシフラボノイド、スダチチンが肝臓に作用して概日リズムを調節し、脂肪の蓄積を抑制することを明らかにした(Mawatari K, et al. Mol Nutr Food Res2023)。さらに経口投与したスダチチンは代謝や分解されずに糞便中にも多く検出されたことから腸内微生物細菌叢への影響を評価した。糞便からDNAを精製し、次世代DNAシーケンサーを用いて、腸内細菌叢のアンプリコンシーケンス解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度までに国際共同研究機関へ研究分担者1名を約5か月間派遣してオンサイトで共同研究を行った。そこで、これまでに概日リズムへの効果が報告されていない低分子化合物の候補を数化合物見出することができた。令和2年度は、そのうち1つの化合物を精製することに成功し、実験動物を用いた薬物動態試験と長期投与試験を開始した。令和2年度以降に国際共同研究先での実験を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、渡航できなかった(本学の規定により)。しかし、研究サンプルの相互に輸送して、解析データを国際共同研究機関と共有することで共同研究を進めていき、2022年度に研究成果をMolecularNutrition and Food Research誌、2023年にNutrients誌にて発表できた。以上により、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は腸内微生物細菌叢との関連性や、 NobiletinやSudachitin以外の化合物の評価や生理活性を評価していく予定である。腸内微生物細菌叢の解析は、糞便からDNAを精製し、次世代DNAシーケンサーを用いて、腸内細菌叢のアンプリコンシーケンス解析を行っている。加えて、糞便のメタボローム解析を実施し、代謝産物(低分子化合物)の変動を評価する。令和6年度も渡航による共同研究先での実験が困難であることが予想されるため、今後も研究サンプルの輸送による共有やオンラインミーティングにより共同で実験や解析を進めていく予定である。
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