研究課題/領域番号 |
18KK0324
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
英語学
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研究機関 | 静岡県立大学 (2020-2023) 東北大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
長野 明子 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 教授 (90407883)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 言語理論 / レキシコン / 派生形態論 / 複合 / 借用 / 競合 / 語形成 / 英語史 / 多重具現 / 言語接触 / 語彙 / 語彙素基盤形態理論 / 語源 / 生物名称 / 形態論 |
研究開始時の研究の概要 |
言語接触とは、異なる言語同士が互いに影響を及ぼしあう一連の現象をいい、なかでも、語彙の借用はその代表的な現象である。本研究は、語形成についての基課題の研究を、借用まで射程にいれたレキシコンの一般的メカニズムの研究として発展させる。目的は、第1に、基課題で得られた「語形成と借用には共通のメカニズムが働く」という仮説を広範なデータを用いて検証すること、第2に、基課題の対象である英語の形容詞派生について、言語接触の影響を詳細に分析することである。言語理論、言語類型論、英語史、そしてコーパス言語学の方法を組み合わせて用いる。本研究は、我が国で多言語主義の言語研究を開拓する試みとして捉えることができる。
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研究成果の概要 |
国内外の研究室と7つの共同研究を実施し、研究ネットワークの形成に注力した。研究プロジェクトのうち5つは、語彙的・文法的借用、形容詞派生、等位複合、多重具現、擬音語という、世界の言語に広く見られる語彙現象についてである。残る2つはそうした現象の分析に必要な言語理論についての研究で、特に「競合」の理論化に成功した点が特記に値する。全プロジェクトを通じて、語彙研究においてもI言語(ヒトの精神に宿る遺伝的能力としての言語)とE言語(話し言葉、書き言葉、手話といった形をとって現実世界に存在する言語)の区別を意識することで、多様な言語資料と研究手法を活用し、目に見えない構造に肉薄できるとがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
言語には音、語、文という基本単位があるが、音や文に比べ、語という単位の自律性は理論的には疑われることが多かった。本研究成果の学術的意義は、語も音や文と同様に自律的な単位であり、別の単位に還元することはできないことを示した点にある。レキシコンにはそれ固有の理論があることは今や明らかである。本課題のプロジェクトで研究したどの言語現象においても、話者は個々の語彙素についてまとまりをなす知識を有していること、そしてその情報を土台にして派生や複合の操作を使って新たな語彙素を作りだすことが確かめられた。海外で積極的に成果発表を行い、日本語やその方言についての理解を深めてもらうようにした。
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