研究課題/領域番号 |
18KK0329
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 静岡県立大学 (2019-2023) 一橋大学 (2018) |
研究代表者 |
浜 由樹子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (10398729)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
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キーワード | ネオ・ユーラシア主義 / ロシア思想 / ロシア政治 / ユーラシア主義 / ディアスポラ / ロシア / ファシズム / 地政学 / ファシズム概念 / イデオロギー / 比較思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代以来、ロシア社会で影響力を増し続けている「ネオ・ユーラシア主義」の思想・イデオロギーは、極右思想や「反米主義」というレッテルを貼られがちであるが、その実態をより構造的に捉えれば、近年の「東方シフト」と呼ばれる外交理念にもプラグマティックに反映されていることを指摘できる。他方、近年の欧米諸国の学界における研究は、ヨーロッパの極右思想との比較研究等で発展を続けているが、もっぱらヨーロッパとの関係に焦点が定められており、ロシアとアジアの関係という観点からの分析はまだ追いついていない。 本研究は、ポスト冷戦期の非欧米地域の思想動向との比較という観点から、その再検討を行う。
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研究実績の概要 |
海外渡航について、海外共同研究者の一人が所属する研究機関のあるロシアには、ロシア・ウクライナ戦争開戦以来、依然として長期滞在が困難な状況が続いており、渡航がかなわない。もう一人の共同研究者には2023年度末から加わっていただいたため、まだ共同研究の実績がない。 研究遂行に必要な一次資料の貸借・提供といった協力は相互に行ったが、渡航と長期の現地滞在を伴うものではなく、思うような成果は上がっていない。 しかし、当初の計画の第一段階であった資料収集は、共同研究者たちの協力を得たことでおおはばに進み、ネオ・ユーラシア主義の体系的・構造的把握につながった。国際的な共同研究の前段階として、現在は日本語での著書執筆を進めている。 ロシア・ウクライナ戦争の勃発により、ロシアのイデオロギーや世界観に関する研究の意義はいっそう増したように思われる。「欧米が掲げる価値」とは異なる理念やヴィジョンの表現として、これまではネオ・ユーラシア主義の攻撃的側面ばかりが強調されてきたが、当該年度の研究の結果、主唱者・支持者は極右のイデオローグだけではなく、保守主義の思想家、中道左派の政治家、実務家にまで広がっていることが判明した。 また、「欧米的価値」に必ずしも賛同しないアジアやグローバル・サウスの思想との共通項も見えてきた。これまで欧米で発表されてきた研究では、主にヨーロッパでの右派のアウトリーチ戦略と絡めてネオ・ユーラシア主義のイデオローグの活動が明らかにされてきたが、アジアや新興国での活動実態はほとんど明らかになっていない。2023年度に行った調査の結果、東アジアでの活動の一端を把握することに成功した。 2023年度には研究成果の発表は先んじて日本語で行ってきたが、2024年度には一部を英語で発表できるよう準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究計画が採択されてから、コロナ・パンデミックが始まり海外渡航ができない時期が続き、ロシア・ウクライナ戦争の勃発に伴って研究対象であり且つ共同研究機関があるロシアへの渡航がかなわず、さらに実父の難病発症と介護という家庭の事情が重なったため、海外への渡航と長期滞在を伴う研究遂行がいまだできていない。 共同研究者たちの協力のおかげで、一次資料の収集には進展があった。また、次年度には国際学会での発表も計画しているが、現在までの進捗状況としては相当遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者たちの協力の結果一次資料の収集が進んだこと、ロシアへの長期渡航ができない状況が当分続くことを視野に入れ、研究計画を以下のように変更する。(1)在ロシアの共同研究者とはこれまで主にオンラインでのやり取りをしてきたが、他の共同研究者が所属する大学を一時的拠点として短期間での共同研究を計画する、(2)日本国内で進めることができる研究として、ネオ・ユーラシア主義を提唱するイデオローグの東アジアでのアウトリーチ活動の動向を研究計画に加える。
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