研究課題/領域番号 |
18KK0337
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
松尾 瑞穂 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 准教授 (80583608)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
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キーワード | サブスタンス / 混血 / 人種 / 遺伝子 / ダッチ・バーガー / セイロン / インド / 白人 / スリランカ / 生殖医療 / 血液 / 南アジア / 配偶子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、インドにおける集団カテゴリーの構築と同定に用いられる血と遺伝子の論理について検討することを通して、集団の差異の「自然化」や「実体化」 にサブスタンスが作用するメカニズムを解明することを目的とする。サブスタンスとは、親子や家族、集団の間で共有し、継承されるとみなされる身体構成物質である。本研究が対象とするのは、インドにおける人種や民族、カーストといった集団の差異化において、血と遺伝子をめぐる言説が、科学的知識として歴史的に生成され、流通し、機能している様態である。歴史、政治、ナショナリズムなどの絡み合いを解きほぐし、社会集団の範疇化や他者との差異化について検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、インドにおける集団カテゴリーの構築と同定に用いられる血と遺伝子の論理について検討することを通して、集団の差異の「自然化」や「実体化」にサブスタンスが作用するメカニズムを解明することを目的とする。サブスタンスとは、親子や家族、集団の間で共有し、継承されるとみなされる身体構成物質である。本研究が対象とするのは、インドにおける人種や民族、カーストといった集団の差異化において、 血と遺伝子をめぐる言説が、科学的知識として歴史的に生成され、流通し、機能している様態である。歴史、政治、ナショナリズムなどの絡み合いを解きほぐし、社会集団の範疇化や他者との差異化について検討を行うものである。 昨年度にインド・サヴィトリバーイー・フレー・プネー大学を受け入れ機関としてインド・プネーに5か月滞在したのに続き、今年度はオランダ・ライデン大学の国際アジア研究所(IIAS)にリサーチ・フェローとして4ヶ月半滞在し、本研究課題に係る研究活動を行った。研究内容としては、オランダ領セイロンにおける白人混血集団バーガー(Burgher)の形成に関するオランダ語・英語資料の収集・分析と、オランダ東インド会社の居留地の人や女性のネットワークに関する二次文献調査などである。また、ライデン大学の館内セミナーやシンポジウムに積極的に参加するとともに、滞在期間中は国際学会やセミナー等で研究報告を行い、研究ネットワークの形成と拡大につとめた。 さらに、8月にはインドにおいて、産婦人科医や遺伝カウンセラーに対して遺伝子と系譜の観念に関する聞き取り調査を行うなど、調査研究活動を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初に予定していたエディンバラ大学からライデン大学国際アジア研究所へ渡航先は変更したが、予定通り約5ヶ月間、共同研究を遂行することが出来た。ライデン大学およびオランダの文書館には、日本では入手できない貴重な一次資料が豊富であり、またオランダ近代史の研究が盛んであるため、これまで着手できていなかったセイロンの白人混血集団バーガーの歴史的な形成に関する研究を展開することが可能となった。それにより、インドの白人混血集団であるアングロインディアンとの比較研究などの新たな視座が開かれた。そのことは、今後の展開として、人種概念の形成期における南アジアでの人種の動態を理解することが期待できるものである。 また、成果公開の一環で、ライデン大学で開催されたシンポジウムやセミナー、ケンブリッジ大学での学会など多数の国際学会において研究報告をすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度にあたるため、インド、オランダでのフォローアップ調査と成果公開を中心に計画している。 オランダの国際アジア研究所では、研究打ち合わせと資料の入手、確認を行う。インドでは、系譜の観念に関して、これまで扱ってこなかった専門家以外の社会的なイメージ(メディアなど)や人びとの共有意識などを中心に調査を行う。 成果公開としては、7月の国際学会でセッションを組織し、研究報告を行うとともに、査読付きの研究論文として学会誌に投稿予定である。
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