研究課題/領域番号 |
18KK0341
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日下 渉 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80536590)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 性的少数者 / ポピュリズム / 東南アジア / フィリピン / LGBT / 性的マイノリティ |
研究開始時の研究の概要 |
ドゥテルテ大統領を事例に、権威主義的ポピュリズムを、セクシュアリティ・ジェンダー・宗教の視点から解明したい。「LGBT」による公共圏の政治と「バクラ」による親密圏の政治との齟齬は、彼への態度にも反映されている。LGBT活動家の多くは、人権や法の支配の観点から、彼の男性優位的な言動と強権政治を批判する。他方「バクラ」の多くは、彼をメシア的な救済者と受け取っている。前者は合法的な正統性に基づく自由民主主義と公共圏の政治を信じるのに対して、後者は法を超えた温情と暴力で統治する家父長的な指導者に解放の契機を見出す。この超法規的な正統性の根源を、愛・性・ケア・救済をめぐる親密圏の政治から明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
コロナ禍による渡航先でのロックダウンによって、国際共同研究に大きな支障が生じ、計画していた英語論集の出版を実現できなかった。ただし、基科研での共同研究をもとに『東南アジアと「LGBT」の政治──性的少数者をめぐって何が争われているか』(明石書店)を出版した。そして、東アジアやラテンアメリカにおける性的少数者の政治を研究している国内研究者と連携を深めたり、編著の一部を英訳して海外の研究者から意見を寄せてもらい、本書を発展させた英語版を出版する機会を伺っている。ポピュリズムに関しては、ドゥテルテ大統領の家父長的統治に関する英語論文を2本、日本語論文を2本出版し、日本語の単著も出版の直前である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『東南アジアと「LGBT」の政治』は、5,940円と高額であるもかかわらず、1年を待たずして2刷に入った。多くの当事者、研究者、実務家が関心をもってくれたおかげだと考えている。海外では、Jafar Suryomenggolon氏によって、International Quarterly for Asian Studies 52(3-4)に英語での書評が掲載された。それによって、英語での出版を求める声が海外からさらに届くようになった。日本語では、東南アジア学会の学会誌『東南アジア──歴史と文化』で書評が出る予定である。また、当事者のフリーマガジン『南界堂』(5月27日)でも紹介されている。
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