研究課題/領域番号 |
18KK0344
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50379616)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 田園回帰 / 地域資源 / コミュニティ / 農山村 / インターローカル / ベトナム / 東南アジア / 農村 / 過疎 / ネオ内発的発展 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は代表者の基課題での,国内の「田園回帰」をはじめとする新たな都市-農村関係によりもたらされる外部人材や外部資源が農村空間の変容にどのような影響を与えているかを明らかにした上で検討を試みたネオ内発的発展モデルを参考に,代表者がいち早く着目をしたベトナム農村で発現しつつある「過疎」という地域課題に対して,ネオ内発的発展の可能性を検討するものである。代表者は1999年からのベトナム農村での調査経験を有しており,それらの成果も最大限活用し,ベトナム農村はもちろんのこと経済成長の下で人口流出や高齢化といった類似の地域課題を抱えるモンスーンアジア農村にも適応可能であるかについて検討を行うものである。
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研究実績の概要 |
本研究はヨーロッパにおいて2010年代以降議論が活発になった農村におけるネオ内発的発展の適応可能性をベトナムを中心に精査し,さらにモンスーンアジアへの適応可能性の試論を検討することを目的とする。その際,農村空間を「コミュニティ空間」と「生産空間」に区分して,都市からの多様な資源が空間変容にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。COVID-19の国家間移動の制約が緩和されたことから2022年8月から10月にかけて第1回のベトナム渡航を実施し,ベトナム農村でのフィールド調査を実施した。具体的にはフエ大学傘下のフエ科学大学に加えて,ダナン師範大学,クイニョン大学などの協力を得て,幅広い研究者ネットワークを形成して,ネオ内発的発展における住民参加の実践を伴う10のテーマの地域参加型研究(CBPR)を開始した。その後,2022年12月および2023年3月に訪越し,CBPRを通したネオ内発的発展の課題の確認を行った。 CBPRを企画及び実践する過程の中から,「コミュニティ空間」に関連して「地域での生活価値観の醸成」が,「生産空間」に関連して「地域内経済循環の構築」が,ネオ内発的発展を基礎とした地域づくりにおいて重要であることを確認したため,具体的には,筒井一伸「地域のなりわいを地域で引き継ぐ継業のススメ」『みんなでつくる中国山地2022生業号』(中国山地編集舎編),中国山地編集舎や,木原奈穂子著・筒井一伸監修『農村地域の仕事と働き方――「らしさ」を活かす働き方の最前線』今井出版など,参照軸となる日本国内を事例にした研究業績をとりまとめた。またベトナムに関連する研究業績としては「地理統計学的手法に基づくトゥアティエンフエ省における環境保護に関する目標実現結果の評価」第13回全国地理学会議論文集2巻(ベトナム語)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による研究対象地域での活動の制限や日本国内での業務調整などのため一時帰国が必要であったが,合計約4か月のベトナム滞在による研究を行えた。事前にオンラインでの海外の研究者とのやり取りを進めていたこともあり,ベトナムでは新しい研究スタイルであるCBPRを導入して,特にベトナム人の若手研究者との国際共同研究の広がりを意識した研究活動を実践中であり,研究活動自体はおおむね順調である。しかしCOVID-19影響が完全になくなったわけではなく,スケジュール的な意味での進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,一時帰国中に海外共同研究者を中心に進めているCBPRの実践報告をオンラインで随時確認をするとともに,8月から約2か月間の現地での共同研究を進める計画をしている。
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