研究課題/領域番号 |
18KK0358
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西岡 晋 東北大学, 法学研究科, 教授 (20506919)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
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キーワード | 調整型市場経済 / 政策過程 / 政策変化 / 競争政策 / 比較事例研究 |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代以降、経済的グローバル化の進展は各国の経済システムを変容させ、日本でも自由主義的な改革が進められてきた。経済システムの自由主義化は一般的には「小さな政府」へと帰結するが、実際にはむしろ国家の規制や能力が強化される場合もある。例えば、最近ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)によるデータの独占が問題視され、各国の競争当局は規制を強め始めている。 本研究は日本とドイツの競争政策とその所管行政機関の比較分析を行い、自由主義的改革が進むなかで、国家の能力がむしろ強化されてきたことを明らかにする。
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研究成果の概要 |
日本とドイツはともに、「資本主義の多様性論」でいうところの、「調整型市場経済」に該当する。調整型市場経済はアメリカを典型とする「自由主義型市場経済」とは異なる市場経済の特徴をもつ。ところが、近年では、自由主義型市場経済をモデルとする制度改革が進められ、調整型市場経済の自由主義化が進んできた。自由主義化は政府の縮小や非市場的メカニズムの改革を通して市場経済の活性化を図ることに狙いがある。しかしながら、実際には自由主義化が進む中にあっても、むしろ政府による規制が強化される場合もある。本研究は、日本とドイツの競争政策を事例にして、自由主義化が進む中で、政府による規制強化が進めらたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、規制緩和や市場への政府介入の縮小を狙いとする新自由主義のアイディアが潮流化するなかにあっても、実際には経済的規制を強化する制度改革が行われる場合があることを明らかにした点で学術的な意義をもつ。とくに近年の調整型市場経済の変化と踏まえた研究は依然とした希少であり、その点でも貢献は果たしている。 本研究での競争政策の比較分析を通じて、日本における政策能力や規制能力の不足や課題が浮き彫りになった。このことは、今後の日本の競争政策だけでなく、政策・規制能力の向上が必要であること、それには何が必要なことなのかを示すことで、社会的な意義ももつといえる。
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