研究課題/領域番号 |
18KK0364
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 神戸大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
玉田 大 京都大学, 法学研究科, 教授 (60362563)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 国連海洋法条約 / 管轄権 / 国際司法裁判所 / 紛争解決 / 調停 / 附属書VII仲裁裁判所 / 南シナ海事件 / チモール海調停 / 客観訴訟 / 領有権紛争 / 附属書VII / 仲裁 / 国際裁判 / 沿岸国訴訟 / 仮保全措置 / 暫定措置 / 訴えの利益 / 附属書VII仲裁 / 受理可能性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、国際海洋法分野では、大きな事件が仲裁や調停によって解決されている。例えば、フィリピン対中国の南シナ海事件(2015年・2016年)は、国連海洋法条約の附属書VIIの強制仲裁手続で行われた。また、東チモールとオーストラリアの海底資源紛争は附属書Vの強制調停手続で解決されている。本研究では、これらの「強制」的紛争解決のための要件を分析し、海洋法条約上の紛争解決の実効性・有用性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
国連海洋法条約(UNCLOS)紛争解決手続における管轄権設定法理について分析した。第1に、同手続において「客観訴訟」が認められる可能性が高いことが明らかになった。その結果、ICJと同様に、直接的に権利を侵害されない締約国が他の締約国の条約上の義務違反(当事者間対世的義務の違反)を理由として提訴することが認められる。第2に、UNCLOS紛争解決手続において、最終的な強制的手続として調停が設けられており、実際に有効に機能していることが明らかになった。この点は、東チモールとオーストラリアの境界画定紛争につき、強制調停によって適切に解決された例を分析し、調停に固有の有用性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国際紛争の平和的解決は、主に国際司法裁判所(ICJ)を想定した議論が行われるが、実際にはICJの管轄権設定は困難であり、多くの紛争は付託されない。他方、UNCLOS紛争解決制度では、事実上の強制的管轄権を有する附属書VII仲裁裁判所が設定されており、さらに当該裁判所が機能しない場合であっても、さらに強制調停手続(附属書V)が設けられており、実効的な紛争解決制度が構築されている。実際に、南シナ海事件(附属書VII仲裁)やチモール海調停事件(附属書V調停)のように、重要な海洋紛争について、実効的な解決手段として機能している。日本周辺の海洋紛争についても、同手続による解決が期待される。
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