研究課題/領域番号 |
18KK0365
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
多田 光宏 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20632714)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アルフレート・シュッツ / 言語ナショナリズム / オーストリア=ハンガリー帝国 / 同化ユダヤ人 / 人種イデオロギー / 現象学的社会学 / メンバーシップ / 主観主義 / 言語 / ナショナリズム / 知識社会学 / ハプスブルク・オーストリア / ウィーン・ユダヤ人 / 移民 / 同化 / 言語社会学 / エスノ言語ナショナリズム / 生活世界 / グローバル化 |
研究成果の概要 |
本研究では、現象学的社会学の創始者アルフレート・シュッツの言語観の社会背景について、彼の同化ユダヤ人としての側面に着目して調査を進めた。特に明らかとなったのは、多民族国家オーストリア=ハンガリー帝国において、言語的にも主観的にもドイツ人(国家国民)であった同化ユダヤ人が、第一次大戦後の新生オーストリア(ドイツ人の国民国家)の疑似科学的人種イデオロギーにより、異人種類型としてそのメンバーシップから排除されたことが、言語習得を通じた市民化というシュッツの言語論のみならず、彼の主観主義と類型化論の生活世界的基底をなしている可能性である。本成果は国際学会ならびに海外大学で計3回の講演により発表された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昨今のグローバル化にともない移民や難民が増大しているが、従来の社会学理論は、二度の世界大戦とその後の冷戦、ならびに経済的繁栄のもとで自明になった国民国家の枠組に囚われがちであり(社会の境界を国境と同一視する方法論的ナショナリズム)、行為者たちのメンバーシップと言語の共通性が前提で、現状の世界社会の分析に適さなくなっている。本研究は、それらが前提ではない時代と地域を生きたシュッツについて、その学術的作業の社会史的背景に着目することで、彼の現象学を脱-方法論的ナショナリズム化し、行為者にとってメンバーシップや言語がいかなる意味をもって現れるかを問う、現代社会分析のための理論的基盤を再整備した。
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