研究課題/領域番号 |
18KK0375
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 (2019-2023) 東北大学 (2018) |
研究代表者 |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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キーワード | 電荷ガラス / 有機導体 / ノイズ分光 / 抵抗ノイズ測定 / 熱膨張率 / 三角格子 / 幾何学的フラストレーション / 走査型近接場光顕微鏡お / 非線形伝導 / 走査型近接場光顕微鏡 / 誘電ノイズ測定 / 誘電率測定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、有機固体結晶中の伝導電子が、強い電子相関と幾何学的フラストレーション効果により、ランダムな電荷分布・電荷配置のまま凍結した電荷ガラス状態が見出され、大きな注目を集めている。電荷ガラス状態では、巨大非線形伝導や負性抵抗領域における自発的電流振動現象などが観測されており、ナノクラスター電子構造との関連性が議論されている。本研究では、電荷ガラス物質における非自明な巨大非線形・非平衡応答と実空間でのナノクラスター電子構造の関係を明らかにするために、走査型近接場光顕微鏡および走査型局所誘電ノイズ測定を駆使して、電荷ガラス状態における電子構造のナノスケール実空間観察を行う。
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研究成果の概要 |
強相関電子系では、サイト間のクーロン斥力により、電子がとびとびに規則正しく整列した電荷の結晶状態が実現する。しかし、二次元三角格子系では、幾何学的なフラストレーション効果により、複数の電荷秩序パターンがエネルギー的に拮抗した電荷ガラス状態が実現しうる。本研究では、θ-(BEDT-TTF)2MM'(SCN)4(M=Cs,Rb,Tl,M'=Co,Zn)に対するノイズ分光測定からBEDT-TTF分子の末端エチレン基の構造ガラス転移がこの系の電荷ガラス形成に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。今後、電荷ガラス状態の実空間観察が、この系で観測される諸現象の解明に重要な役割を果たすと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、物性物理学の分野において、有機固体結晶中の伝導電子が、強い電子相関と幾何学的フラストレーション効果により、ランダムな電荷分布・電荷配置のまま凍結した電荷ガラス状態が見出され、大きな注目を集めている。このような電荷ガラス状態では、巨大非線形伝導や負性抵抗領域における自発的電流振動現象などが観測されており、その機構解明が重要な課題となっている。本研究により、末端エチレン基のガラス転移が、電子系のガラス状態に影響を与えている可能性が明らかになった。今後、電荷ガラス状態における電子構造のナノスケール実空間観察により、電子ガラス系で観測される諸現象が解明されることが期待される。
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