研究課題/領域番号 |
18KK0409
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
牧原 克典 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90553561)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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キーワード | Si量子ドット / Si系量子ドット / 配列制御 / 合金ナノドット / スーパーアトム / 発光デバイス / 量子ドット / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
本年度は、IHP(渡航先外国機関)において、Reduced-pressure CVDを用いて200mm-Siウェハ上にGeコアSi量子ドット構造を高密度・一括形成し、所属機関において室温PL特性を評価するとともに、EL特性も評価した。 各CVD工程後のAFM表面形状像測定において、ドット面密度に顕著な変化は認められず、サイズ分布から算出した平均高さが随時増大していることを確認した。断面TEM-EDXマッピングでは、GeH4-CVD後では予め形成したSi量子ドット上に均一にGeが堆積しており、その後の650℃熱処理においては顕著な変化は認められないものの、SiH4-CVD後では明瞭なコア/シェル構造が認められた。尚、Geコア高さはAFM像から得られた平均ドット高さの差(~1.6nm)と矛盾しない。形成したLEDからは、ELスペクトルでは、電圧振幅-1.0Vで0.65~0.85eVにブロードなELスペクトルが認められ、電圧の増大に伴いEL強度は増大し、高エネルギ側の増大がより顕著であった。また、得られたELスペクトルはPLと同様に4成分でピーク分離でき、印加電圧の増加による各成分のピークエネルギー位置の変化は認められなかった。これらの結果は、順方向バイアス印加により、a-Si層から電子注入とp-Si基板から正孔注入が進行し、電子-正孔の量子準位間での発光再結合が生じたと説明でき、印加電圧の増加に伴ってGeコアにおける高次の量子準位を介した再結合発光が支配的になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、コロナ禍であったものの約2か月間IHP-Leibniz-Institut fur innovative Mikroelektronikに滞在し、新型コロナウイルス感染症拡大前に行っていた共同研究を再開するとともに、加速的に推進することで、GeコアSi量子ドットの高密度・一括形成プロセスを構築した。さらには、IHPで作成した試料を持ち帰り、代表者所属機関にて発光デバイス構造を形成し、室温発光特性を評価した結果が、Nanomaterials 13(9), 1475 (8pages) (2023)に掲載されるに至っている。また、本研究の推進により、Technische Universitat Berlinとも共同研究を推進し、新たな共同研究ネットワークも構築することができた。これらに加えて、本申請研究とは異なる共同研究テーマを新たに議論・推進し、これにより得られた成果は2023年9月に名古屋で開催される2023 Int. Conf. on Solid State Devices and Materialsにて成果発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、再度IHP-Leibniz-Institut fur innovative Mikroelektronikに滞在し、昨年度までに構築したRP-CVDを用いたGeコアSi量子ドット高密度・一括形成プロセスを活用して、GeコアSi量子ドット活性層に用いたマイクロディスク共振器を200mm Siウェハ上に新たに形成する。また、得られた成果は、Technische Universitat Berlinとも議論することで、継続して共同研究を推進し、これにより、室温レーザー発振を実現する。尚、IHPにてエッチング工程が困難な場合は、代表者所属機関に試料を持ち帰り、共振器の形成を実現する予定である。さらには、昨年度から新たに開始したGe系二次元結晶および電子放出デバイスに関する共同研究においては、福岡大学、愛知工業大学とも連携して推進することで、国際共同研究ネットワークを拡大し、共同研究を加速的に推進する。
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