研究課題/領域番号 |
18KK0415
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小林 純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20385404)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 細胞シート / mRNA送達 / 細胞外マトリックス / リバーストランスフェクション |
研究開始時の研究の概要 |
高度な代謝機能を持つ肝臓や心筋組織を細胞から作るためには、血管等の脈管構造をはじめとする細胞組織の3D微細構造の制御が必須である。基課題では、mRNA送達により3D組織内部に血管新生因子を発現させ、生体に移植可能な脈管構造をもつ3D肝臓および心筋組織の作製に取り組んでいる。しかし、非分裂性の初代肝細胞からなる肝細胞シート組織へのmRNA送達は、分裂性の細胞シート組織に比べて遺伝子導入効率が低い。そこで本国際共同研究は、細胞シート底面の細胞外マトリックスからmRNA送達を行うためのあらたな培養基材を設計し、積層化細胞シート組織内部での血管形成誘導手法開発を促進する。
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研究実績の概要 |
高度な代謝機能を持つ肝臓や心筋組織を細胞から作るためには、血管等の脈管構造をはじめとする細胞組織の三次元(3D)微細構造の制御が必須である。我々は、メッセンジャーRNA(mRNA)送達により3D組織内部に血管新生因子を発現させ、生体に移植可能な脈管構造をもつ3D肝臓および心筋組織の作製を目指している。そこで本国際共同研究は、細胞シート組織周囲の細胞外マトリックス設計の観点から高効率なmRNA送達手法を達成するために、細胞シート底面の細胞外マトリックスからmRNA送達を行うための培養基材を設計する。 当該年度は、2022年11月7日~2023年3月13日の約4ヶ月間、米国ジョージア工科大学Andres J. Garcia教授の研究室に滞在し、共同研究を実施した。具体的には、組み換えタンパク質であるヘパリン結合性フィブロネクチンフラグメント合成のためのプラスミド設計、大腸菌培養、組み換えタンパク質精製を行った。また、移植可能な肝細胞シートを再現性よく作製する手法も併せて確立した。具体的には、拡散距離(具体的には培地の深さ)を短くすることで、気相/培地界面から培養肝細胞への酸素供給を促進し、単層肝細胞シートを形成できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年11月7日~2023年3月13日の約4ヶ月間、米国ジョージア工科大学Andres J. Garcia教授の研究室に滞在し、共同研究を実施した。具体的には、組み換えタンパク質であるヘパリン結合性フィブロネクチンフラグメント合成のためのプラスミド設計、大腸菌培養、組み換えタンパク質精製を行った。 また、移植可能な肝細胞シートを再現性よく作製する手法を確立した。培養肝細胞は大量の酸素を消費するため、酸素不足によりコンフルエントな培養シート内のいくつかの肝細胞が失われてしまう。この問題を回避するために、当該年度は拡散距離(具体的には培地の深さ)を短くすることで、気相/培地界面から培養肝細胞への酸素供給を促進し、単層肝細胞シートを形成できることを実証した。培地深さ2.6 mmで培養すると生存肝細胞は減少するが、1.3 mmの深さではコンフルエントな肝細胞シートが形成された。フィブロネクチンを吸着させた温度応答性培養皿を用いて、上述のように培地深さ1.3 mmで72時間培養すると、肝細胞はコンフルエントに達した。さらに30分間20℃で培養してセルスクレーパーでシート辺縁をスクラッチすることにより、肝細胞シートの脱着が開始し、再現性良く剥離した肝細胞シートを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヘパリン結合性フィブロネクチンフラグメント合成法の最適化を行い、ヘパリン固定化基材への固定と肝細胞培養に与える影響を検証する。さらに、培養細胞底面からmRNA送達を行うための基材を調製する。具体的には、mRNAを固定化した基材表面で肝細胞を培養し、培養肝細胞に対してのmRNA送達およびその発現を観察し、より効率的なmRNA送達の開発を目指す。
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