研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
プロリル異性化酵素Pin1が、生体膜リン脂質動態制御の一つとしてオートファゴソーム形成時に観察されるLC3顆粒や初期エンドソームの形成に重要な役割を果たす事が明らかになった。Pin1が、Clathrin依存性のエンドサイトーシス制御因子HIP1Rと協調して、がん免疫の標的因子であるPD-L1と核酸トランスポーターのENT1をリソソーム依存的に分解することを明らにした。これらPin1によるがん関連主要因子の分解制御は、腫瘍細胞のみならずがん微小環境における癌支持組織を形成するがん関連線維芽細胞(CAF)にも影響を与え、CAFを介した治療・薬剤抵抗性に対する効果が観察された。
Pin1は、様々ながん腫において強発現しており、細胞周期制御因子や炎症制御プロセスに重要な役割を果たすプロリル異性化酵素である。現在までにPin1は、数十種のがん遺伝子産物の発現誘導や活性化、さらには、がん抑制遺伝子の発現抑制や不活性化のプロセスに関わる事が明らかになっており、癌治療標的因子として注目されている。今回の共同研究において、Pin1阻害剤、がん免疫活性化PD-L1抗体、抗がん剤Gemcitabineの併用により細胞レベル、自然発生膵癌マウスモデルで副作用を低減しかつ劇的な抗がん作用相乗効果がみられたことから、今後本ストラテジーによる臨床応用への展開が期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Cell
巻: 184(18) 号: 18 ページ: 4753-4771
10.1016/j.cell.2021.07.020