研究課題/領域番号 |
18KK0458
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
基盤・社会脳科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10334674)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 遺伝子改変ラット / ドーパミン / ゲノム編集 / コンディショナル遺伝子発現制御 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝子改変ラットを用いた青班核ノルアドレナリンニューロンからのドーパミンシグナル伝達機構及び新奇体験による記憶保持の強化の分子機構の解明を目的とする国際共同研究をデンマークAarhus大学DANDRITE研究所の竹内倫徳博士と共に計画した。基課題にて開発されたコンディショナル低分子タグ発現カセットを用いたドーパミン受容体、ドーパミン生合成酵素等を標的としたノックインラットを作製して標的タンパクの発現、動態解析と行動試験を竹内研究室で行い、基課題の研究の発展性を実証しつつ本課題の目的を達成する。また、記憶保持の強化過程の解析に有用なcFos-tTAノックインラット系統の解析も行う。
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研究実績の概要 |
コンディショナル遺伝子発現制御法(生体内における遺伝子発現時間、発現量、発現細胞種などに任意の制限を加える方法)は遺伝子機能の解析技術として極めて強力であるが、内在遺伝子に対しての点変異や低分子タグのノックインなど微細な変異への適用が困難であることや、変異動物作製のため長い実験期間を要することが問題であった。研究代表者は基課題において、Cre/loxP組換え系を用いた新規コンディショナル遺伝子発現制御法とゲノム編集技術と組み合わせることで、従来の点変異/低分子タグ等のノックイン法が内包する問題点を克服できる可能性を見出し、その検証のため、遺伝子改変マウスを用いた小脳発達の分子機構の解明を目的とした研究を行った。 基課題の研究を発展させ、遺伝子改変ラットを用いた青班核ノルアドレナリンニューロンからのドーパミンシグナル伝達機構及び新奇体験による記憶保持の強化の分子機構の解明を目的とする国際共同研究をデンマークAarhus大学DANDRITE研究所の竹内倫徳博士と共に計画した。基課題にて開発されたコンディショナル低分子タグ発現カセットを用いたドーパミン受容体、ドーパミン生合成酵素等を標的としたノックインラットを作製して標的タンパクの発現、動態解析と行動試験を行う。個別目標としては(1)青班核軸索と海馬神経細胞における神経伝達物質とその受容体の関係性の解析(2)青班核ニューロンからのドーパミン放出の分子機序の解析(3)記憶保持の強化過程における海馬ドーパミン受容体の機能解析を設定した。また、記憶保持の強化過程の解析に有用なcFos-tTAノックインラット系統、tTAの動作検証のためのtetO-H2B tdTomatoノックインラット、記憶保持と遺伝子発現の関係を明らかにするためのコンディショナルRpl22-HAノックインラットの作製と解析も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は計画通り発生工学的実験の補助とラット飼育管理等のために実験補助員1名を年度後半より雇用し、ゲノム編集法によるノックインラットの作製と繁殖を国内にて研究協力者および実験補助員と共に行った。作製したラットについてはDANDRITE研究所へ導入し、個別目標の達成を目指す予定である。 Lister HoodedラットES細胞から作製したcFos-tTAノックインキメララットの生殖系列伝達が確認されなかったため、ゲノム編集技術のGONAD(Genome-editing via Oviductal Nucleic Acid Delivery)法を改良することで新たにcFos-tTAノックインラットの作製を試み昨年度中に成功していたことから、樹立済みのtetO-H2B tdTomatoノックインラットとの交配を行なった。しかしながら現在まで交配したメスが妊娠に至らず、生殖能力または生殖細胞が欠如していることが予想され、再度作製を試みている。なお、このノックイン技術については論文に発表した(Abe et al., Sci Rep 2023)。また、コンディショナルRpl22-HAノックインラットも作製を継続中である。 代表者と海外共同研究者は定期的に研究進行状況について打ち合わせており、順調に結果が得られつつあるという認識で一致しているが、代表者自身が渡航し、ノックイン遺伝子の発現検証、低分子タグ付加タンパクの動態解析、薬剤によるドーパミンシグナル伝達の制御可能なノックインラットの行動試験を行うという本課題の主要な目的については、令和4年度末時点でも新型コロナウイルス感染症のために実現できていない。(現在、令和5年度の渡航計画を海外共同研究者と調整中である。) 上記の理由で、進捗状況に関しては「遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、海外共同研究者の研究室において(1)2つの異なるドーパミン依存的な新奇性回路による日常の記憶の亢進、(2)絶対的新奇性による日常の記憶の亢進に関与するタンパク質の同定、(3)ドーパミン依存的な新たな情報の知識への統合を明らかにするための研究に参画し、代表者が技術的見地より個別の導入遺伝子変異について合議し、分子生物学、生化学、解剖学的実験を含んだ研究を遂行する予定である。cFos-tTAノックインラット系統も樹立されつつあるため、先行してその系統の解析も行う予定である。 しかし新型コロナウイルス感染症流行のため今年度の渡航については見合わせ、国内で実施可能な研究を継続中である。すなわち、主としてcFos-tTAノックインラット系統の樹立と、その動作確認をtetO-H2B tdTomatoノックインラットを用いて進める。tTA活性については脳組織透明化によって評価する予定である。低分子タグノックイン系統(Rpl22-HAノックインラット)については、部分的に変異遺伝子の挿入された個体を用いて、挿入されていない部分を補完するようにノックインすることで完全な変異ラットを作製する。また、コンディショナルノックインラット系統についても作製を進め、これらの樹立できた系統については可能な限りその動作確認を行い、海外共同研究者へ搬送する。(搬送動物の微生物的統御がなされている保証がある場合は動物個体の搬送が可能であることは確認済みである。) 現在(令和5年5月時点)は出入国の制限が解除されており、大幅に計画が遅れたが令和5年度中に渡航し本研究課題の達成を目指す。なお、渡航時には研究代表者の国内での業務を果たすための代替要員を雇用する予定である。
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