研究課題/領域番号 |
18KK0464
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 (2019-2023) 徳島大学 (2018) |
研究代表者 |
井澤 俊 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30380017)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 破骨細胞 / エピゲノム / RANKL / 顎顔面領域稀少性遺伝子疾患 / 骨細胞 / RANKLシグナル / IGF 結合蛋白 / ミトコンドリア生合成 / 骨折治癒 / 変形性顎関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
造血幹細胞の多分化能を規定するのにはヒストン修飾を中心としたエピジェネティック機構が重要であることが明らかとなり、この機構においてはポリコーム群タンパク質が重要な役割を担うことが明らかにされてきた。そこで本研究では、造血幹細胞由来ミエロイド系の一つ破骨細胞やその分化に必須のサイトカインRANKLの主要なソースである骨細胞におけるエピジェネティック制御機構に関する基課題を発展させた包括的な理解を深める。さらに、ポリコーム群を原因遺伝子とする頭蓋顎顔面領域に重篤な症状を示す稀少性遺伝子疾患、骨粗鬆症や関節リウマチなどの病的状況下での新規骨リモデリング機構の解明を国際共同研究強化により実施する。
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研究成果の概要 |
ワシントン大学との国際共同研究にてヘルパーT細胞分化に重要な転写制御因子ThPOKがNFATc1の転写と機能を介して破骨細胞形成を制御することを明らかにした。骨髄マクロファージにおけるThPOK発現は破骨細胞分化因子であるRANKL刺激に伴い減弱するものの、ThPOK発現の欠損は破骨細胞分化には影響しないこと。マクロファージへの過剰なThPOK発現は破骨細胞形成を制御するが、過度のThPOK発現はNFATc1プロモーターに結合することでその転写を制御するという破骨細胞抑制効果のあることが示唆された。以上の結果からThPOKはNFATc1の転写を抑制し破骨細胞活性を抑制していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最近、我々は破骨細胞活性化因子のRANKLとダイオキシン受容体AhRとのシグナルクロストーク解明によるマクロファージから破骨細胞への分化機構の一端を明らかにした。ダイオキシン受容体の遺伝子破壊により、リガンド暴露による口蓋裂がなくなるという報告もあり、生物作用への直接的な関与が示されはじめている。また、歯科用レジンにも含まれるAhRリガンドが内分泌撹乱物質として働き破骨細胞分化を著しく抑制するといった報告もあり、免疫細胞内でのAhRシグナル伝達機構や病的状況下での動態解析がダイオキシンの毒性発現、骨量調節のメカニズム解明に本質的な知見を与えると共に、歯学系領域からの情報発信につながると考える。
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