研究課題
基盤研究(B)
家族で子育てをする霊長類マーモセットを用い、親子の分離―再会試験(10分間、N≧250)における親子の行動と音声コミュニケーション解析から、親の子育てスタイルが子の発達に与える影響を分析した。そして子の鳴きに対する感受性と、背負った子に対する拒絶性という親の子育ての2変数に応答し、不安型(親に背負われても鳴き続ける)、回避型(親の背負いを拒絶する)愛着行動を示すことを見出した。続いて人工保育を受けた子マーモセットは、混乱型(しがみつかず、月齢に不釣り合いに鳴き続ける)愛着を示し、成長後も社会的(異性)・非社会的(おやつ)報酬に対してネガティブ発声を行うことを見出した。
乳幼児期の親との関係で築かれた愛着行動は、成人においてもパートナー・家族など親密な関係における社会性の基礎となる。親との分離や虐待・ネグレクトなどによって乳幼児期の愛着形成が不十分であると、成長後のストレス耐性の低下、不安・うつ症状、自殺など生涯にわたってメンタルヘルスに重大な影響を与える。本研究で提示した、親子関係が子の社会性や愛着パターン形成に与える影響のマーモセットモデルは、人間では研究が困難な小児期逆境体験の行動神経科学的メカニズム解明に貢献する。そして将来的に、愛着形成の問題に起因する様々なメンタルヘルス問題の理解と支援にも役立つと期待できる。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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