研究課題
基盤研究(B)
農学分野において重要な生物間相互作用に注目し、その相互作用の最前線で対峙する界面で情報伝達を司る化学特性・物理特性を解析することで、実際の農業に応用できる新規でバイオミメティクス的な植物保護技術のシーズ開発を目指した。振動を用いたオンシツコナジラミの行動制御技術では、実際のトマト栽培施設で検証を行い、振動処理区において無処理区よりも本種の密度が66%減少した。また、ハスモンヨトウ抵抗性ダイズで抵抗性に関与する化学成分を従来よりも精密に評価できる統計処理法を確立した。
人間が持続的に生存するため、「人間と自然の共存」が謳われている。しかしながら、様々な学問的、社会的取り組みをもってしても、「人間と自然の共存」を実践する手法は依然として明らかでない。「人間と自然の共存」の具体的な実践として、演者らが提案するのは、人間側からの一方的な自然・環境の解釈だけでなく、人間ならざるものである蟲(昆虫、動物、微生物..)の環世界と行動原理を理解することである。すなわち、蟲にとっての環世界を科学の言葉で理解したうえで、人間と蟲の両方の視点から環境をデザインする姿勢こそが「人間と自然の共存」の実践のキーワードになると考える。ここに本研究の学術的・社会的意義がある。
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