研究概要 |
1. La-Si二元系の高圧状態図を作成し, 新規Siリッチ相LaSi_5およびLaSi_<10>を合成し, それぞれ, Tc=10.5および6.7Kで超伝導体となることを見いだした。層状窒化物TiNClへのインターカレーションを調べ, アルカリ金属の種類にかかわらずTc=16.3Kの超伝導体となることをあきらかにした。有機塩基のピリジンのインターカレーションではTc=8.6Kの超伝導体となり, 超伝導発現の機構が異なる可能性が示唆された。 2. STM測定を行ない, 層状ハニカム構造をもつβ-HfNCl_<0.7>(T_c=24K)の鮮明なHf原子配列の観測に初めて成功した。この物質では面内100nm^2程度の領域で電子状態が均一であり, 異常な超伝導ギャップ値2Δ〜9k_BT_cを持つ事を明らかにした。銅酸化物超伝導体については電子状態が頂点酸素の影響を受けて生じている可能性を見出した。 3. NMRによる研究では, Li(THF)HfNClの磁束格子の運動について緩和率の測定から、磁化測定における不可逆温度曲線が、磁束ガラス状態と磁束液体との境界線であることを明らかにした。Fe系化合物のNMR実験を行いFeSe_<0.92>において、非BCS超伝導体に特有な緩和率の温度依存性を見いだし、超伝導状態についての知見を得た。また、SrFe_2As_2において圧力誘起超伝導を電気抵抗による測定で明らかにした。 4. 共有結合性の化合物の結晶膜をPLDなどの物理的な製膜法で合成できれば物質探索の幅が大きく広がる。共有結合性窒化物である六方晶窒化ホウ素(h-BN)の薄膜合成を試み、窒素ラジカル照射下でのPLDにより結晶性のh-BN薄膜を合成することができた。
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