研究課題/領域番号 |
19014017
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 (2008) 仙台電波工業高等専門学校 (2007) |
研究代表者 |
小椎八重 航 独立行政法人理化学研究所, 交差相関理論研究チーム, 基幹研究所研究員 (20273253)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2008年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 熱電応答 / 二重交換模型 / ギルバート緩和 / 交差効果 / コバルト酸化物 / ネルンスト効果 |
研究概要 |
本研究では、固体の熱電応答における電子の内部自由度、すなわち電荷、スピン、軌道の役割とその重要性に焦点を当て研究を続けてきた。特に、熱の流れは素直にエントロピーの流れを定義し、熱起電力における電子のスピンや軌道自由度の効果を明確に示してきた。 電気や熱の伝導には、常にエネルギー緩和が付きまとう。このエネルギー緩和と電子の内部自由度の結びつきを明らかにするために、今年度我々は、二重交換模型を用いて、励起状態の緩和過程、そして電場や温度勾配に対する電子系の応答を数値的に研究した。エネルギー緩和については、二重交換模型が含む古典的自由度の局在スピンに、ギルバート緩和を導入することにより、エネルギー散逸とスピン自由度の結びつきを調べた。 数値計算の結果、励起状態の寿命、すなわち、基底状態へ向けての緩和過程を特徴付ける時間が、系の運動方程式に現れるエネルギースケールの逆数よりもはるかに大きいことが示された。これは、電子の持つ励起エネルギーが古典自由度である局在スピンに伝播しエネルギー散逸に結びつく緩和過程の機構を直接反映している。 また、我々は、実験グループと共同で、強磁性金属が示す新しい電気と磁気そして熱の交差効果を発見した。電子間の強いクーロン相互作用は、電子の内部自由度としてスピン自由度を引き出す。この状況下にあって電子の流れは自然にスピンの流れを引き起こす。この流れはまた、エネルギーの流れを伴う。この結びつきを露わに示したのが、今回発見された新しい交差効果である。
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