研究課題/領域番号 |
19014022
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 (2008) 独立行政法人理化学研究所 (2007) |
研究代表者 |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80332592)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 第一原理電子状態計算 / 最局在ワニエ関数 / downfblding / 鉄砒素系新超伝導体 / 多軌道系 / 制限乱雑位相近似 / 圧力誘起超伝導 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / 軌道縮退 |
研究概要 |
本課題申請時(2006年)においては、銅酸化物に匹敵する転移温度をもつ物質は存在しなかったため、「銅酸化物には、2次元、単一軌道系、モット転移近傍、強い反強磁性揺らぎ、など様々なキーワードがあるが、これらをすべて満たす物質は、自然界に自明に存在しないかのように思われる。そこで、圧力という外部パラメータを導入し、銅酸化物と似た電子状態を銅酸化物以外の物質で実現させる可能性を検討する」という方針で研究を進めていたが、本年度はじめに、東京工業大学細野グループにおいて、銅酸化物に匹敵する転移温度を持つ鉄砒素系新超伝導体が発見されたため、同物質の電子状態計算を行った上で、この系の超伝導発現機構についての考察を行った。 銅酸化物高温超伝導体と異なり、本物質では鉄の5つのd軌道がフェルミ面近傍で複雑に絡み合うが、特にdxz, dyz, dx2-y2の3つの軌道が超伝導にとって本質的な役割を果たしうることを明らかにした。また、constrained RPAと呼ばれる手法を用いてこの物質の相互作用パラメータの評価を行った。その結果、on-siteのクーロン相互作用のオーダーとしてはバンド幅の3/4程度、典型的なtransferエネルギーの10倍程度であることが明らかになった。この系における超伝導相はみな反強磁性近傍に存在するので、その反強磁性発現の機構についても詳しい考察を行った。銅酸化物同様、鉄砒素系新超伝導体においても、転移温度が強い圧力依存性を持つので、その起源についても考察を行った。 また、ユニークな超伝導体であるコバルト酸化物における高い熱起電力に触発され、やはり遷移金属酸化物で最近合成され、高い熱起電力が発見されたLaRh204について、強相関第一原理計算の方法を用いてその起源をさぐった。
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