研究概要 |
我々は,太陽系外惑星を直接撮像するため,非対称ナル干渉計(Unbalanced Nulling Interferometer,UNI)および補償光学系(Phase-AmplitudeCorrection,PAC)を用いた超高コントラスト装置(通称,UNI-PAC法)を提案し,検証実験を行った。系外惑星の直接撮像を行うためには,明るい恒星からのスペックルノイズを10^<-10>レベルにまで減らすため,λ/10000rmsもの超高面精度の光学素子や光波面補正が必要とされる。提案する手法は,UNIによる光波面誤差の拡大とPACによる波面補正を行い,更に後置コロナグラフを用いることにより,上記のような高面精度のオプティクスを必要としないという,画期的な手法である。 平成19年度は,UNI部の安定・高性能化を目指した光学系の改修,およびPAC部の構築を行った。具体的には,ナル干渉計の振動抑制のための光学素子マウント製作,傾斜補正鏡の導入,可変形鏡および波面センサ部のマウント製作を行った。その結果,ナル干渉計単体で恒星モデル像のスペックルノイズを,5λ/D以遠で10^<-7>オーダーにまで抑制させることに成功した。また、UNIによる波面誤差拡大の観測に成功し,拡大率がほぼ理論的予測と一致することを確認した。また,後置コロナグラフとして3Dサニャックナル干渉計を導入し,提案する装置全体の検証実験を行った。その結果,3Dサニャックナル干渉計単体と比較して高いコントラストを達成することができた。 更に,後置コロナグラフとして,像面位相マスクコロナグラフの使用も検討した。特に,従来提案されている4分割位相マスクを多分割化(8分割)にすることにより,更に効率的に恒星光除去が行えることを,数値シミュレーションおよび検証実験により明らかにした。
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