研究概要 |
本研究では(i)-100℃から200℃まで使用可能な圧電材料として, 無鉛ペロブスカイトであるチタン酸バリウムーチタン酸ナトリウム・ビスマス(Ba_<1-x>(Bi_<1/2>Na_<1/2>)_xTiO_3, 以降BBNT) セラミックスに, (ii)400℃まで使用できる材料としてタングステン酸ビスマス (Bi_2WO_6 : 以降, BWO) 単結晶に着目している. 本年度の研究成果は以下の通り. BBNTセラミックスにおいて, x=0.1でT_cが200℃になり, x=0.3まで230℃まで上昇する. それ以降では殆ど上昇せず, x=0.5以上では誘電率温度特性でピーク温度が周波数依存を示し始めることがわかった. BWOに関して, その単結晶は高い電気機械結合係数k_<33>=36%を有し, 400℃まで高い抵抗率を有し高温用圧電材料として有望であることを示した. さらに本年度は優れた圧電特性を有する(K_<0.5>Nb_<0.5>)O_3(KNN)に着目し, 添加物制御により高い品質係数Q_mを有する材料の探索ならびにそのデバイス応用を試みた. KNNに対してLiNbO_3とCuOを適量添加し, 高い内部電界を得るために小さな粒径のセラミックスを作るという設計指針のもと材料開発を進めた結果, [(Na_<0.5>K_<0.5>)_<0.98>Li_<0.02>]NbO_3 (KNNL2)+0.45mol%CuOという組成でQ_m=1400という値を得ることができた. 本成果を元に圧電定数d_<15>=155pC/Nを示す圧電セラミックスを合成し, 超音波モータを試作しその駆動特性を評価した. その結果, 最大回転数313rpm, 最大トルク19.6μNm, 最大有率1.6%の値が得られ, これまで報告されている無鉛超音波モータより大きいトルク密度が得られることが分かった.
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