研究課題
特定領域研究
安定な三次元ネットワーク構造を有するd-f元素系配位高分子であるLa[Fe(CN)_6]・nH_2Oの熱分解(錯体分解法)によって調製したペロブスカイト型酸化物LaFeO_3のメタン酸化反応に対する触媒能について調べた。また、触媒特性が触媒の調製法や微細構造などに大きく影響を受けることから、従来の一般的手法として知られている共沈法や固相反応法によって調製したLaFeO_3との比較も行った。その結果、錯体分解法で調製したLaFeO_3を触媒として用いた場合の反応率が最も高かった。このような触媒能の違いを検討するために、調製したLaFeO_3表面の微細構造をSEM測定により観察した。錯体分解法では、サブマイクロサイズの孔が規則的に配列した多孔体であることがわかった。これに対して、共沈法と固相反応法によって調製したものは、表面構造がroughであった。このような孔形成が、高反応率に関係しているものと考えられ、錯体分解法による新規触媒調製法として今後期待できる。また、LaFeO_3の前駆体であるLa[Fe(CN)_6]・nH_20は、水や通常の有機溶媒に対する溶解度が非常に低い。このため、La[Fe(CN)_6]・nH_2Oの利用は、現在のところ、熱分解によって調製されるLaFeO_3粉末に限られている。La[Fe(CN)_6]・nH_2Oがよく溶ける溶媒が見つかれば、LaFeO_3の薄膜や充填材料の開発など用途の大幅な拡大につながる。このような観点からさまざまな溶媒への溶解性を調べた。その結果、水-エチレングリコール混合溶媒に予想をはるかに超えた溶解性を示し、粘ちょう性の極めて高い溶液になることを見い出した。この発見により、本研究の飛躍的な発展が大いに期待できる。現在、これまで困難であったLaFeO_3充填多孔質アルミナ材料の開発とガス分離膜への応用を試みている。
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Inorganic Chemistry Communications 11
ページ: 323-325
Journal of Ceramic Society of Japan 115
ページ: 640-642
110006436417