研究課題/領域番号 |
19019004
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
村上 修一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30282685)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | スピントロニクス / 表面・界面 / ビスマス / スピンホール効果 |
研究概要 |
量子スピンホール相を示す物質を、半金属ビスマスの関連物質を中心に探索した。この相は非磁性絶縁体のうちでZ_2トポロジカルナンバーが奇数であるものを探せばよい。我々は以前、1-bilayer(111)ビスマス薄膜が量子スピンホール相を示すという予想を行ったが、これは非常に単純化された模型に基づいており、実際の実験と関係付けるためには物質に即した第一原理計算が必要である。このため今年度は第一原理計算の助けを借りて精密な計算を行った。ビスマス薄膜のうち絶縁性をしめすのは(i)(111)1-bilayer薄膜、(ii){012}2-monolayer薄膜の2種であり、これらについて計算をした結果、(i)は量子スピンホール相となるが、(ii)はそうでなく通常の絶縁相であることが分かった。なお(ii)の場合は空間反転対称性がない結晶構造のため、相を同定するためのZ_2トポロジカルナンバーの計算が厄介である。これについてはいくつかの等価な計算式が知られているが、実際数値計算をしようとすると複数の方法の間に優劣が生じる。この点については格子ゲージ理論から提唱された計算の枠組みが知られており、試行錯誤の結果この計算法が非常にうまくいき、短時間で信頼できる結果が出せることが分かった。 またこれらの系でのエッジ状態の計算も行い、エッジ状態の時間反転対の個数が(i), (ii)でそれぞれ奇数、偶数となり上記の相の分類と一致することを確かめた。これらのエッジ状態は、理論的に予測されているとおりスピン偏極している。スピン偏極の向きはほぼ薄膜面に垂直であるが、10-20%程度薄膜面の法線方向から傾いている。この結果は良質の薄膜が作成できれば実証可能であると考えられる。
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