研究概要 |
申請者は,CO_2をLewis酸で活性化し,有機化合物へ親電子的に固定化する方法について研究しており,AlBr_3の存在下,トルエンのCO_2によるカルボキシル化が,過剰量のMe_3SiXの添加により著しく促進されることを見出している。本研究の目的は,本反応の反応機構を検証し,その原理を抽出して新しい高度分子変換法へ展開することであり,今年度は,下記の成果を得た。 1. トルエンのCO_2によるカルボキシル化におけるシリル化剤の反応促進効果は,シリル化剤が活性種と考えられるCO_2とAlからなる錯体をよりいっそう活性化するためであることが昨年度の研究により示唆されたが,このことがIRによる活性種の分析でも支持された。また,CO_2圧下,R_3SiClとAlBr_3を反応させて得た反応混合物を用いると,窒素下でもトルエンを30%程度の収率でカルボキシル化できることを見出した。 2. N-上に置換基を有するピロール類およびインドール類が,Me_2AlClの存在下に,CO_2で容易にカルボキシル化できることを見出した。 3. CO_2を選択的かつ強く活性化する金属錯体を設計することを最終的な目標として,種々のモノおよびビスチアカリックス[4]アレーン類を合成し,チタンとの錯形成能を評価した。 4. ケイ素上に種々の置換基を有するシリルアミンR_3SiNR'_2とAlCl_3を用いて,N-メチルピロール,N-メチルインドールを良好な収率でシリル化できることを見出した。また,シリルクロリドR_3SiClをAlCl_3,^iPr_2EtNとともに用いると,シリルアミンを用いた場合に比べて収率が向上した。 5. 班員間共同研究により,1,1'-ビナフタレン-2,2'-ジカルボン酸の誘電率制御分割に成功した。
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