研究概要 |
チオフェン骨格が複数個連結したオリゴチオフェン類の効率的合成法の開発をめざし,研究をおこなった。平成20年度までに,チオフェン骨格の結合において頭尾構造をhead-to-tail型に制御した,head-to-tailオリゴチオフェンの合成法開発についての研究をおこなってきたが,CHアリール化カップリング反応を満足すべき収率でおこなうことができなかった。 触媒として用いるパラジウム種,添加剤,反応溶媒の詳細な検討を,モデル化合物としてベンゾチオフェン,カップリング反応に用いる有機求電子剤として,ハロゲン化アリールを用い,さまざまな添加剤,溶媒の検討をおこなった。その結果,パラジウム触媒種としては,Pd(t-Bu_3P)_2を用い,添加剤としてリチウム-t-ブトキシドを用いて,N,N-ジメチルホルムアミド溶媒中で反応させたところ,収率よくカップリング反応が進行することがわかった。 この反応では,従来の反応条件を用いた際にはヨウ化物の反応においてのみカップリング反応が進行したが,嗅化アリール,塩化アリールを用いても,ジメチルホルムアミド溶媒中,100℃で反応させることで,カップリング反応が短時間のウチに効率的に進行し,良好な収率で反応が起こることが明らかになった。また,さらなるモデル反応系として臭化アリールにプロモチオフェンを用いて反応をおこなったところ,同様にカップリング反応が進行して,チオフェン-チオフェン結合を形成させることに成功した。
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