研究概要 |
我々は、パラジウム触媒を用い、非常に温和な条件下でヒドロアリール化反応が効率よく進行することをすでに見出している。また、カチオン性の白金触媒を用いることにより、選択性の高いヒドロアリール化反応が達成できることも明らかにした。そこで、本研究では、複素環化合物を用いるヒドロアリール化反応の開発と応用、及びポリマーへの応用を検討している。本年は、チオフェン類を用いるダブルヒドロアリール化反応、メタルフリーのヒドロアリール化反応、アクリル酸エステルをポリスチレンへ直接導入する反応、アリールブタジエンの合成反応に関する成果を述べる。 白金触媒を用いるプロピオル酸エチルエステルのヒドロアリール化反応をチオフェン類に応用し、チオフェン類が二分子付加したエチル3, 3-ビス(チエニル)プロピオナートが得られることを見いだした。 さらに、アリールアルキンについて電子豊富なアレーンとの反応をTFA存在下で検討したところ、ヒドロアリール化が進行し、非常に簡便に1, 1-ジアリールアルケンを合成することが可能である。 ヒドロアリール化反応をポリスチレンへの官能基導入反応へ応用したが、導入率は低いものであった。そこで、Pd(OAc)_2触媒によるアクリル酸エステルとのC-Hカップリングにより、アクリル酸部位の導入を検討したところ、最高58%アクリル酸エステルが導入できることが明らかになった。 二座配位子を有するPd(dppe)(OAc)_2触媒存在下アレーンとエチルプロピオラートの反応を行うと、位置及び立体選択的にアリールブタジエン誘導体が得られることを見出した。種々の電子豊富なアレーンに対して良好な結果が得られることが明らかとなった。1, 2-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(dppm)も同様に効果的であった。
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