研究概要 |
光学活性なアミン類の合成は,医薬品の開発研究においても非常に重要な研究課題の一つである。われわれは、(R)-BINOLより得られるリン酸エステルがキラルブレンステッド酸としてすぐれた不斉触媒能を有することを見出している。 イミンの不斉還元は,アミン類を光学純度良く得る有用かつ簡便な合成手法である。近年,リン酸をキラルブレンステッド酸触媒を用いHantzschエステルを水素源として用いるリン酸触媒によるイミンの還元反応が知られている。Hantzschエステルに変わる新しい水素供与体の開発が望まれている。我々は,薪たな水素源としてベンゾチアゾリンに着目し,ベンゾチアゾリンを用いた水素移動反応によるケトイミンの還元反応を開発した。ベンゾチアゾリンは,2位の置換基の修飾が容易であり,Hantzschエステルに比べよりチューニングの容易な水素供与体であると考えられる。本手法を用いる事により,これまでのHantzschエステルを水素源として用いた還元反応よりもより高い光学純度で対応するアミンを得る事ができた。 次に,インドールのトリフルオロピルビン酸エステルに対するFriedel-Craftsアルキル化反応を検討した。興味ある事により,反応の濃度を変化させる事により不斉収率が大きく変化する事を見出し,対応する付加体を光学純度良く得る事ができた。 以上、本研究により,アミン類を高い光学純度で得ることのできる簡便な合成法を見出すことができ、リン酸触媒の適用範囲をさらに拡げることができた。
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