研究概要 |
個々の生体分子の細胞内や動物個体内での「構造・機能・動態」を詳細に解明することは, 現在の生命科学研究において最も重要な課題である. 本研究は, (1)タンパク質のリン酸化, (2)ペプチド切断酵素活性を, 低侵襲的に可視化するための新たなプローブ分子の開発原理を創案し, 実際に生きた動物個体内で可視化できることを目的とした. (1)緑色を発するElucN-14-3-3/Bad-McLuc1プローブを開発し、内在性コントロールとして赤色光を発する鉄道虫由来の赤色ルシフェラーゼ(SLRLuc)を細胞に発現させ, 同一の発光基質D-Luciferinを用いたマルチカラーイメージングを行った. 2種類のバンドパスフィルターを利用したマウスイメージングシステムを組み上げ, Bad-14-3-3間相互作用を半定量的に評価することに成功した. ElucとSLRLucは、マウス個体における二色発光イメージングに有用なツールとして利用できることを実証した. (2)本年度は環状Flucが, 生きたマウス体内のカスパーゼ-3活性の検出に応用可能であるか、さらなる検証を実施した. 環状Flucを発現するHeLa細胞をマウス背中の右側に移植した. マウスにSTS(100μg/kg体重)を腹腔内(i.p.)注射した場合に行ったところ, コントロールに対し有意な増加が見られた. 環状Flucを用いた発光イメージング法は,カスパーゼ活性をリアルタイムで高感度検出できることを実証した.
|