研究概要 |
本年度は第4世代フェニルアゾメチンデンドリマーにTi化合物を精密集積した有機一無機精密ハイブリッドデンドリマー(Ti-DPAG4)を前駆体とすることで、酸化チタンナノ粒子のサイズを精密に制御し、その量子サイズ効果を明らかにした。 Ti(acac)C13がDPAG4へ精密に集積されることをUV-visスペクトルによって明らかにした。Ti-DPAG4を基板上にキャストし、HC1水溶液蒸気による加水分解、もしくは500℃での熱分解によって酸化チタンへと変換した。バルク条件でそれぞれルチル形、アナターゼ形の結晶形を与えることをRamanスペクトルにより確認している。残留有機物は熱処理、UV-03処理により除去し、XPSにより確認した。得られた量子サイズ酸化チタンのサイズはAFM、TEMにより観測した。量子サイズ酸化チタンのバンドギャップは表面/界面吸収スペクトルのTaucプロットから算出した。6, 14, 30Ti-DPAG4から得られた量子サイズ酸化チタンのサイズは化学変換手法に関わらず、それぞれ1.0, 1, 2, 1.5nmであり、その分散は0。2nmであった。これは、有機一無機精密ハイブリッドデンドリマーがナノ粒子の厳密サイズ制御に有効であることを示唆している。得られたナノ粒子のバンドギャップはサイズが小さくなるに従って大きくなり、同じサイズの量子サイズ酸化チタンでも化学変換手法によって異なる値を示した。これらのことは、酸化チタンにおける量子サイズ効果と結晶形の違いが量子サイズ領域に存在していることを示唆している。
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