研究概要 |
本研究は, 1.55ミクロン波長帯用にInGaAs/InAlAs材料系を用いた五層非対称結合量子井戸の作製技術(FACQW)を確立するとともに, その優れた電界誘起屈折率変化特性を実証することを目的とする.また, 光変調デバイスを試作し, 超高速光制御デバイスへの応用可能性を示す.平成20年度は, 以下の成果が得られた. I. InGaAs/InAlAs五層非対称結合量子井戸マッハ・ツェンダー光変調器の変調特性改善 : (1) 多重FACQWをコア層とするY分岐を有するMZ光変調器を作製した。位相変調部長は500ミクロンである。DC変調特性を測定したところ、半波長電圧をVpi、位相変調部長をLとして、Vpi・L=1.2Vmm、変調効率157°/mm/V、消光比19.5dBと、消光比を除き、昨年度の結果(Vpi・L=3.6Vmm、変調効率97°/mm/V、消光比30dB)を上回る良好な特性を達成した。 (2) 従来の特性をさらに改善すべくFACQW構造の改良を行った。その結果、基礎吸収端をより短波長側にシフトさせつつ、大きな屈折率変化特性が得られる構造を見いだした。 2. GaInNAs FACQW構造め提案 1.3ミクロン帯光制御デバイスの実現を目的として、GaInNAs系材料を用いたFACQWの構造設計を行った。その結果、屈折率変化が生じる電界領域は狭いものの、InGaAs/InAIAs FACQWと同等の電界誘起屈折率変化特性が得られることがわかった。これは、例えば、位相変調部長1mmのマッハ・ツェンダー変調器を作製した場合、動作電圧は0.1〜0.2Vまで低減できることを示している。
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