研究概要 |
古典的光通信ネットワークにおいて汎用化されている, Erドープファイバ増幅器(EDFA)光源と光ファイバ非線形光学を用い, 連続量量子もつれ光発生に必要な真空スクイーズド(SV)パルスを発生させるための要素技術を開発を行った。 1. スクイーザとしてのファイバにおけるGAWBS雑音は, ガウス型雑音であるため非ガウス型post-selectionでは除去できない。従来, 数10mの長さで用いられていたSagnacファイバ干渉計を3mまで短くすることでGAWBSを低減し, 波長1550nmで-2.3dBのSVパルスを発生させることに成功した。また, 波長800nm帯ではファイバ長を10cmに短くできることも明らかにした。 2. 短い光ファイバでスクイーザを構築するならば, 光ファイバに固執せず, 導波路非線形材料の可能性も考えるべきである。そこで, 我々は周期分極反転LiNbO3結晶のカスケード2次非線形光学効果を用いたSagnac型干渉計を構築し, 最大-1.7dBのSVパルス発生を実現した。カスケード3次非線形光学効果によるSVパルス発生は, 本研究が最初の報告である。 3. 一方, ファイバ伝播中のGAWBS雑音はpost-selection法で除去可能である。我々は, SVパルスの純粋度を改善させる目的で, post-selcction実験を行った。スクイージング量にはほとんど影響を与えず, 反スクイージング量のみを12.6dBから4dBまで削減できることを実験的に証明した。 4. 波長800nmの正常分散波長領域においても, 光ファイバ非線形光学効果によってSVパルス発生が可能であることを実験から明らかにした。その際, ファイバの正分散を入射パルスに前もって負分散を与えて補償することが効果的であること計測結果から示した。 5. EDFAを使用するためには, 光源のコヒーレンス化が必要であるが, 我々は, パルス毎に光子数および位相分散を計測し, SV測定後にポストセレクションする新しい手法を考案した。
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