研究概要 |
本研究は, 家庭用ゲーム機の機能・性能を活用するボランティアコンピューティングによって, 大規模データマイニングを実現するための基盤技術を確立することを目的としている. 平成20年度には, ロケット噴射ノズル近辺での物理現象の解析を行う分散データマイニングシステムを構築し, PLAYSTATION 3およびInTriggerから構成されるボランティアコンピューティング環境で大規模データマイニングの実証実験を行った. その結果, 動的負荷分散の実施方法として従来通り集中型のタスクスケジューリングを用いる場合, 計算資源の増加に伴い動的負荷分散が効率的に行えなくなり, 大規模ボランティアコンピューティング環境で期待する性能を実現することができないことが示された. 一方, 本研究で提案している分散協調型スケジューリング機構では計算資源の台数が増加しても動的負荷分散を効率的に実施すること可能であることが明らかになった. 本評価実験より, 提案機構が大規模ボランティアコンピューティング環境における動的負荷分散を実現する有効な機構であることが明らかになった. また, 複数のプロジェクトに参加するボランティアが遊休計算能力を浪費しないために, ワーカ側でのスケジューリング手法も提案した. ボランティアコンピューティングの信頼性を高めるための仕組みとして, 計算結果の妥当性を効率的に確認する車法も提案した. 各ワーカの信頼度を定量化し, 計算結果妥当評価に基づいて信頼度を変化させることによって, 不正なワーカを検出できることをシミュレーションにより明らかにした. さらに, 家庭用ゲーム機が高い描画処理性能を有している点に着目し, その描画処理性能をデータマイニングのために利用する方法について検討し, そのようなプログラミングを容易に行うためのプログラミングフレームワークについても研究した.
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