| 研究概要 |
今年度は,以下の内容について研究を実施した.特に,前年度からの繰り越しとなっていた,「曖昧な位置情報に基づく空間問合せ」の課題に関して,空間問合せ手法の開発を中心に進めた.
本課題では,GPSなどのセンサ機器や移動ロボットにおけるセンシングなどから取得される曖昧な位置情報に基づき,空間データベースを問合せするための問合せ処理技術を開発している.曖昧性がガウス分布に従うことを前提としており,最終的に必要となるガウス分布の数値積分のコストが高いことから,積分対象をうまく絞り込むための技術を開発している.また,空間索引技術を効果的に用いて,効率よく問合せを実行するアルゴリズムの開発も行っている.
前年度までは,空間問合せのうち範囲問合せ(range query)についておもに集中的に研究開発を行ったが,繰り越し分として,もう一つ主要な問合せである最近傍問合せ(nearest neighbor query)に着目し,問合せ処理手法の開発および実験評価を行った.
また,本年度は,複数の移動オブジェクトがそれぞれ曖昧な位置を持ち移動を続けるような状況において,着目している地点からある距離内にいる確率が高いオブジェクトをモニタリングする,連続的問合せ処理についても着目した.問題を定式化し,アルゴリズムの導出を行い,具体化を進めた.多数のオブジェクトが移動する状況に一般化したものであり,さらなる応用が期待できる.
これらの研究に関連して,国内・海外の学会における研究発表や,雑誌への投稿などを行い,着実な成果が得られた.
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