研究概要 |
無線LANやZigBeeなどの無線通信技術の発展に伴い, 既存のバックボーンを介さず臨時に敷設した中継端末や携帯移動端末同士で通信を行うモバイルワイヤレスネットワークの研究が進められている. このようなワイヤレス通信に基づくネットワークでは, 移動端末のモビリティモデルがネットワークの性能に大きな影響を与えることが知られている. このため, 携帯端末を持つ数万人規模の歩行者が球場やショッピングストリートを移動しながら近隣のショップ情報を共有しようとする場合や, 地震などで既存のネットワークインフラが遮断された際に被災地の住民間でのアドホック通信で災害地情報や緊急情報の伝達を行おうとした場合, 人や車の現実的なモビリティモデルに基づきネットワークの設計や性能解析を行う必要がある. 本研究では, 都市空間上での人・自転車・車のより現実的なモビリティモデルを構築し, それらのモデルに基づいた大規模モバイルワイヤレスネットワークでの情報共有方式の技術開発を行った. 平成20〜21年度は, 一万人規模の歩行者と数千台の車や自転車が混在する都市環境において,(a)災害時の被災地情報や緊急情報の共有方式,(b)歩行者同士の遭遇履歴情報の安全且つ効率的な共有方式,(c)車々間マルチホップ通信による走行車両の安全性確保のための情報共有方式, に関する研究を行った. 構築したモデル記述法を用いて, 都市空間での人や車の行動モデルを詳細に検討し, ある程度の現実性を持った形で人や車の行動パターンを数学的に簡便にモデル化するための方法を考案すると共に, 様々な状況に対してその有効性に関する評価実験を行い, 提案手法の有効性を評価した.
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