研究課題
特定領域研究
原子的に平坦なシリコン表面に熱酸化法により極薄シリコン酸化膜を形成し、その表面および界面のラフネスをAFMで評価し、膜厚均一性に関する新しい知見を得た。商業的に得られる鏡面研摩したシリコン表面は、0.1nm以上のラフネスを有し、その表面に形成されたシリコン酸化膜表面には、0.lnm以上の凹凸を有している。本実験におけるSi(III)面の原子的平坦面のシリコン酸化膜の観察結果から、(1)表面の凹凸は、膜厚1nm以下ではほとんどラフネスの増加は観察されない。この結果は1nm程度の膜厚では、熱酸化でも原子的に均一な膜厚を実現できる可能性があることを示している。(2)その後膜厚増加と共に徐々にラフネスが増大し、10nm程度の膜厚で0.1nm程度のラフネスで飽和する。このことは、従来の鏡面研摩した表面では、本実験の結果は得られないことを実験的に示したことになる。一方、シリコン酸化膜/シリコン界面のラフネスは、0.5nm以下の膜厚で急激にラフネスが増加し、その後膜厚が増加してもある範囲内の変化に留まることが明らかとなった。厚膜においては平均値を中心に変動するのに対して、薄膜では、増加傾向に変動成分が重畳するように変化することが分かった。このように、初期に原子的平坦なシリコン表面を用いることにより、熱酸化における原子的な振る舞いが明らかになると共に、微細トランジスタの特性ばらつきや信頼性ばらつきに対する根本的な現象を捉えることができることを実験的に示すことができた。
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