研究課題/領域番号 |
19027003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 肇 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90282300)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2007年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 有機化学 / ナノ材料 / 合成化学 / 発光 / クロミズム |
研究概要 |
「発光性メカノクロミズム」とは、ある化合物に対して機械的刺激を与えたときに、その発光性が変化する性質のことである。このような性質を持つ化合物は、力学感知センサーや記録材料として幅広い応用が期待できる。しかし、この「発光性メカノクロミズム」特性をもつ化合物の合成例はごく限られていた。報告者は、金(I)錯体の多くが固体、室温でも強い発光性を示すことに着目して研究を行い、二核金(I)-イソシアニド錯体[(C_6F_5Au)_2(μ-1,4-diisocyanobenzene)](I)が、この発光性メカノクロミズム特性を有していることを明らかにした。この錯体は乳鉢中ですりつぶすなどの機械的刺激により、そのフォトルミネッセンスが大きく変化する上、発光性が変化した錯体を溶媒にさらすことで、容易にもとの発光状態へ戻すことが可能である。また、吸収スペクトル、発光スペクトル測定および、エックス線構造解析、粉末X線回折(PXRD)、IRなどからこの現象のメカニズムを考察した。金(I)錯体では、金同士の弱い相互作用が形成される場合があり、その結果特徴的な発光性を示すことが知られている。この錯体の場合、機械的刺激で、金(I)原子間の相互作用が誘起されるものと考えられる。金(I)錯体の中でも、特にこの錯体がメカノクロミズムを示す理由については、今後詳細な研究が必要となるが、配位子に含まれるフッ素原子の小さい分子間力により、分子同士のずれが起こりやすくなり、機械的刺激による固体相の変化が誘起されやすくなっていることが一つの要因であると推測される。
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