研究課題/領域番号 |
19027016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2007年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | アゾベンゼン / ホウ素 / 配位結合 / 蛍光スペクトル / 蛍光性物質 / 蛍光量子収率 / 励起エネルギー / 酸塩基反応 |
研究概要 |
4'位に様々な置換基を有する(E)-2-[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリル]アゾベンゼンを合成、単離した。X線結晶構造解析により、ホウ素はアゾ基の窒素からの配位を受けて四配位であり、ホウ素原子周りは正四面体構造であることが確認された。合成したアゾベンゼンのヘキサン溶液に光照射すると、異性化は進行せず、蛍光発光を示すことを見出した。紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルにより、その光学的性質が4'位の置換基に大きく依存し、電子供与性が増すほどπ・π^*吸収極大波長および蛍光極大波長が長波長側にシフトし、Stokesシフトが小さくなることを明らかにした。置換基によって差はあるものの、いずれもアゾベンゼンとしては非常に高い蛍光量子収率を示した。室温で高い蛍光量子収率での発光を示すアゾベンゼンはこれまでにほとんど例が無く、特に4'位にメトキシ基を有する誘導体は史上最高の蛍光量子収率を示した。ホウ素置換アゾベンゼンが蛍光を発する原因を分子軌道計算から検討したところ、n軌道の準位が大きく低下し、π軌道の準位が相対的に上昇した結果、HOMOがπ軌道、LUMOがπ^*軌道となることがわかった。その結果に基づき、TD-DFT計算により一重項励起エネルギーを求めたところ、ホウ素置換アヅベンゼンでは基底状態から最低励起一重項状態への遷移がπ・π^*遷移であることがわかった。許容遷移となったことで遷移確率が上昇したため、アゾベンゼンとして極度に高い蛍光量子収率で蛍光を呈したものと推定された。ホウ素置換アゾベンゼンに酸を添加すると添加量に応じて徐々に蛍光強度が弱くなり、大過剰量の酸を加えると最終的に消光した。その後に塩基を添加して中和すると蛍光強度が回復し、酸塩基反応によってアゾベンゼンの蛍光発光を可逆的に制御できることがわかった。
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