研究概要 |
金属触媒を2種類以上用いると、単独の触媒では行なえない変換反応が進行したり、効率的に多段階の反応が行なえる。新たな金属錯体触媒の組合せを検討し、同時に用いることで、その相乗効果により、官能基選択性や効率の高い新反応を開拓した。具体的には下記の3つの反応を見いだした。 (1)レニウムと金触媒を同時に用いるジエチニルメタンのワンポット合成:触媒量の塩化金(I)とレニウム錯体[ReBr(CO)_3(thf)]_2を同時に用いることで、アルデヒドと2当量のシリルアセチレンからジエチニルメタンを一挙に合成できることを見いだした。 (2)銅(I)、金(I)触媒によるN-アリールプロパルギルアミンからの2,4-二置換キノリン合成:触媒量のCuCiとAgOTf、あるいはAuClとAgOTfを用い、さらにアルジミンを1当量加え、N-アリールプロパルギルアミン7を加熱すると、2,4-二置換キノリンが高収率で得られることを見いだした。 (3)インジウム触媒によるレトロClaisen縮合反応:エノラートとエステルが反応して1,3-ジケトンが生じる反応はClaisen縮合反応として知られている。この逆反応が触媒量のインジウム錯体In(OTf)_3を用いると高収率で進行することを見いだした。この反応を利用すると、ケトンとエステルの両方をもつ化合物を容易に合成できる。
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