研究概要 |
金属を担持したNb205の特性を調べる為に,まず,Nb205上でのアルコール光酸化反応の反応機構を明らかにする必要がある。UV/VISスペクトル,作用スペクトル測定,FT-IRスペクトル,ESRスペクトルおよび速度論解析により検討した.反応の経路は,まずNb205光触媒に暗中にてアルコールが吸着し,アルコキシド種を生成するすることを主にFTIRスペクトルにより明らかにした.これに光照射を行なうと,Nb205光触媒表面に生成した表面錯合体が光活性化され脱水素がおこりアルキルラジカルを生成する事が分かった。このアルキルラジカルは100K程度の低温では安定に存在するが,室温では不安定で即座にカルボニル化合物へと変換される.これに伴い還元されたNb205が酸素によって再酸化されることで,触媒サイクルが回ると考えられる.分子状酸素の反応への関与の様式が明らかとなった。また,速度論解析により,アルコール光酸化反応における律速段階は,生成物の脱離段階であることがわかった.反応温度を上げる事により,速度を増加させる事ができる。さらに,アルコールの吸着により生成した表面錯合体は,Nb205自身のバンドギャップより長波長側の光を吸収し活性化され反応を進行させることができることが分かった.この知見をもとに,パラジウムの効果について調べた。パラジウムは,生成物の脱離を促進する事がわかったが,逆に,特定のカルボニル化合物により,表面がブロックされてしまい,失活も早い。パラジウム自身の触媒活性も,光照射による熱で加速されており,シナジー効果が達成されているようである。
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