研究概要 |
炭化水素の水蒸気改質にはNi/Al203系触媒が用いられているが、この触媒の問題点は炭素析出による活性劣化である。本研究では,PtおよびPdといった貴金属を活性成分として用い、活性と安定性の向上を目的として触媒の担体にペロブスカイト型酸化物を適用して触媒特性を検討した。また、過渡応答法を用いて反応機構について、格子酸素の役割について検討を行った。担体にはLaAl03, La0.8Sr0.2Al02.9を用いた。比較用に-Al203,を用いた。活性金属のPd, Ptは含浸法にて1wt%になるよう担持した。活性試験は固定床常圧流通式反応器で、1073Kにて反応を行った。過渡応答測定では供給ガスの切り替え直後の生成ガス濃度の推移を追跡、解析した。 Pd/α-Al203、Pt/α-Al203両触媒を用いて固定流通式反応器によって定常条件下での反応を行ったところ、Pd触媒、Pt触媒ともにα-Al203では劣化が起きた。これは炭素析出または活性成分である貴金属のシンタリングによる活性劣化と考えられる。一方LaAl03を担体とした場合には、α-Al203担体を用いた場合と比較して、著しく活性と安定性が向上した。特に、Ptはα-Al203担体ではほとんど活性を示さないのに対して、LaAl03を担体とするとPdよりも高い活性を示した。 種々の過渡応答測定の結果により、Pt/LaAl03ではLangmuir-Hinshelwood機構に加え、酸素が格子酸素として担体中に取りこまれてから消費されるMars-van Krevelen機構も同時に起こっていることが示唆された。L-H機構とMVR機構のCO, CO2生成に対する寄与の割合は、L-H機構約40%、MVR機構約60%となり、担体中の格子酸素の反応への寄与が大きいことがわかった。
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