研究課題/領域番号 |
19029028
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥村 光隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40356712)
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研究分担者 |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30321748)
北河 康隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60362612)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2007年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 擬縮重多電子系 / 対称性の破れ / 構造最適化 / メゾスコピック / クラスター |
研究概要 |
擬縮重多電子系である金属ナノクラスター、多核遷移金属錯体、ナノサイズ分子スピン系は、特異な機能が発現する非常に興味深い物質系である。これらのメゾスコピック系を理論的に扱うには、現状ではシングルデターミナントで記述されるスピン対称性が破れた(BS)の分子軌道法を用いて取り扱う方法が現在もっとも有効であると考えられる。しかしながら、これらの手法では高スピン状態からのspin contaminationにより、それらの構造、反応の活性化エネルギーなどの評価に重大な影響を与えることが知られている。以前からの我々のグループの研究で、近似的にスピン射影したBS法が、非常に実用的な方法であることを明らかにしてきた。そこで、上述の大規模系に対して、近似スピン射影BS法を用いることにより、基底状態の構造、エネルギー準位、スピン間相互作用に対して近似スピン射影を用いることによりspincontaminationの効果を除去し、これらのメゾスコピックサイズの小分子ともバルクとも異なる擬縮重多電子系の物性を理論的に評価する。このモデル系としてoxyHc等を検討した。この系の高スピン状態におけるCu(II)のスピン密度は0_2^<2->に非局在化し0_2^<2->がラジカル性を帯び電子状d態は極めて不安定である。このためBS法による最適化構造は高スピン状態と低スピン状態にかなりの違いが見られた。つまりスピン密度分布の不安定な高スピン状態が混入している系では、構造が大きな影響を受ける。低スピン状態の構造もこの影響を受けたがAPOPT法を用いることで磁気的相互作用に関わるCu-02-Cu部に大きな改善が見られた。これらの結果は、Cu-02-Cu部分のわずかな変化に対して磁気的相互作用はかなり敏感であり∠Cu-0-CuとJ値にはよい相関があるという実験結果と矛盾しないことが明らかになった。
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