研究概要 |
本研究では,環状構造を有する巨大生体分子集合体が,生体内の重要な生命維持機能を担っていることに注目し,【目的1】それらの構造を模倣した超巨大分子の合成手段の一般的手法の開発を行い,【目的2】生体物質に匹敵するような精密巨大分子を実際に合成し,【目的3】生体機能のメカニズムの類推,さらには生体を越えた機能の発現を目指すとともに,【目的4】それらを固体表面に連結させた新しい触媒・酵素の開発を目指した。研究に際して,分子構造と機能との関連を明らかにするために,"多検出性"を有するポルフィリンやピレンを構成単位として用い,種々の分光学的手法等を用いて評価を行うこととした。具体的に以下の成果が得られた。【計画1:超巨大環状ポルフィリン多量体等の合成手法の確立とその応用】申請者は,これまでにポルフィリン環状3〜28量体の合成に成功しているが,この環サイズをさらに大きくした36量体の合成を試み,その合成手法の一般性を獲得する。【計画2:溶液内での機能評価】得られた環状化合物の性質を,分光学的手法を用いて溶液状態で評価を行った。【計画3:単分子計測】標的化合物は,今日の表面科学の手法を用いて検出可能なほど巨大であることから,ナノテクノロジーへの応用を視野に入れ,基板上に単分子膜を構築し,走査トンネル顕微鏡等を用いて単分子計測を行うことに成功した。
|