研究課題/領域番号 |
19031005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 康博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (30401235)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2008年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2007年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | ポリロタキサン / 櫛型高分子 / ブロック共重合体 / 非平衡構造 |
研究概要 |
ポリロタキサンの環状分子に側鎖をグラフトさせた可動性櫛型高分子(SGC)は、側鎖のスライド、回転により立体配置が可変な新規ブロック共重合体である。本研究では、SGCの構造や物性を詳細に調べ、ミセル形成やミクロ相分離などの凝集挙動に側鎖の可動性が与える影響を明らかにすることで、SGCの非平衡ダイナミクスについての系統的な知見を得ることを目的とする。 本年度は、疎水性のグラフト鎖としてポリメチルメタクリレート(PMMA)側鎖を環状分子上に持つSGC (PMMA-g-PR)およびポリスチレン側鎖を持つSGCを合成した。物性と分子構造の相関を調べるため、グラフト鎖密度・長さを様々に変えた。これら試料の固体状態での物性を、小角X線散乱(SAXS)および動的粘弾性測定により評価し、SGC特有の物性の発見を試みた。 SAXS測定では周期的なミクロ相分離構造を示す強度ピークは観察されず、均一な構造であることがわかった。この結果は、SGCのグラフト鎖がブロック状に凝集することなく、分子内で分散していることを示唆する。これは主に、グラフト鎖が凝集することによるエントロピー損失、および主鎖と側鎖の体積分率の非対称性に由来するものであると考えられる。動的粘弾性測定においては、PMMA-g-PRについて、PMMAホモポリマーのガラス転移点付近で、ガラス転移類似の緩和が見られたが、その緩和時間はグラフト鎖であるPMMAのそれよりも長く、またグラフト鎖長に依存することから、単純なグラフト鎖のガラス転移による緩和としては説明できない。また、グラフト鎖のガラス転移による緩和モードが独立したモードとして観察されないことから、他のSGC特有の緩和モードとカップリングした結果一つのモードとして観測されていることが予測される。このSGC特有のモードの起源としては、グラフト鎖の回転やスライドが考えられる。
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