研究課題/領域番号 |
19031017
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2008年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2007年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 高分子ガラス / 非平衡緩和 / エイジング現象 / 若返り効果 / 記憶効果 / ガラス状態 / メモリー効果 / 積算的なエイジング / ラベルした高分子 / ガラス転移温度 |
研究概要 |
エイジング挙動の詳細を調べるために、モデル系として、ポリ2-クロロスチレン(P2CS)を用いて電気容量測定を行った。この系は側鎖に極性の強い基が付いているが、構造的にはa-PSと類似している。このモデル系に対してエイジング過程での複素電気容量の測定を行った。この系では電気容量虚部からは誘電感受率虚部の変化が得られるのに対し、PMMAとは異なり、電気容量実部からは体積変化と誘電感受率実部の変化の双方が得られる。複素電気容量実部の温度依存性を様々な周波数に対して測定することにより、等温度でのエイジングにより、実部が時間とともに上昇するのが観測された。このことは、エイジングによる体積の減少、密度の上昇が原因であることがわかった。しかし、電場の周波数が100kHzから低下するとともに、特に低周波数領域で、大きな周波数依存性が見られた。これは誘電感受率実部の変化が効いていることを示している。体積変化には周波数依存性はないはずなので、高周波数での値を体積変化による寄与であるとして差し引くことにより、誘電感受率実部の温度変化が得られる。等温エイジングにより誘電感受率実部は低下するが、その後の冷却により低温では参照値まで戻り、「若返り効果」が見られる。一方、高い周波数でのデータより、等温エイジング過程で誘起された体積変化は低温にもどしても保持されたままで、密度の緻密化は低温でもそのまま保持されることがわかる。なお、その後、昇温過程では明確な「記憶効果」が観測される。このようなエイジングおける交流感受率と体積での異なった若返り効果に関する挙動はエイジングを支配する特性長の存在を示唆している。このことはガラス転移機構解明に向けた重要なステップであると考えられる。
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